真実はどこに?
□H&W
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私立 偵架(ていか)学園
この学園を一言で表すと
異端
それがなんともぴったりで、言い方を変えれば、まさに適切である。
探偵業に関しては、現在の法律で縛られている部分が少なく、これから探偵業を目指す人材のモラルと世間一般で必要とされる知識、そして学生としての勉学を学ぶことを目的として創設されたのがこの学園である。
「近年問題となっている別れさせ業なども探偵業務の一部として取り込んでいる事務所も少なくは無いと言います。
そんな中、探偵に求められるモラルへの声は強くなる一方。
我が偵架学園に入学した新入生たちの自立、成長、そして探偵業のモラルの確立を願い。ご挨拶といたします。」
壇上で頭を下げたのは、5年制のこの学園の3回生。高等部生徒会長。
「高等部生徒会長、吉良 推牙(きら すいが)。」
体育館内は式中にもかぎらず歓声があがる。
壇上で挨拶をした会長は
アッシュブラウンでミディアムヘアーのきれいにセットされた髪。漆黒の瞳整った顔のパーツ。
文句無しの男前だ。
彼こそ、学園頂点に立つ容姿と頭脳の持ち主であり、有名な吉良探偵事務所の時期後継者と呼ばれる男。
そんな俺はと言うと、
男前といわれる部類で、日本人らしい黒い目に黒髪短髪。頭の良さは上の下くらい。
今年入学した新入生だ。
「なぁ、安治(あんじ)。」
「あ?んだよ。式中だぞ。」
生徒会になどまったく興味を示さない俺とその幼馴染、帆村 烈(ほむられつ)。淡々とそう答える俺は、渡瀬 安治(わたせあんじ)。
「お前、Wだったろ…。」
「…さぁ?どうだろうな。」
「いいじゃん。俺にくらい教えてくれたって。つーか安治がHは無いだろ。どう考えたって。」
余計なお世話だ。俺はそう思いながら小さく舌打ちする。
ふと、壇上から降りる途中だった生徒会長と目があった気がしてビクリと体が震えた。
「?…どうしたよ。」
「…なんでもねぇ…。」