ＮＯＶＥＬ
□彼の正義と子供っぽい愛情と
1ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
それでも生きていくんだ､と
貴方は言った
私は嗚咽を吐いてばかりで､
ちっともこの胸の内を言葉にすることができなかった
この涙は止まらない
｢大丈夫…？ﾎﾞｰﾎﾞﾎﾞ｣
｢ああ､ちょっと油断しただけだ｡こんな傷すぐに直る｣
そう言って口端を上げると､かすり傷が沢山ついたその太い腕で､私の頭を優しく撫でた｡
私はとてもじゃないけどそんなﾎﾞｰﾎﾞﾎﾞと目を合わせるなんて出来なくて､左腕の痛々しい傷に包帯を巻くことに集中した｡
｢…どうしたﾋﾞｭﾃｨ？｣
｢……｣
｢―…ﾋﾞｭﾃｨ､｣
視界がじわりと滲んで､生温い水がぽたりと彼の腕の包帯を濡らした｡
こんなのいけない､って､私は頭の中で自分の緩い涙腺に命令した｡
止まれ!止まれ!止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ…!
止まってくれない涙は次々と目から溢れてきた｡
それでも拭ってしまったら泣いていることを認めてしまうようで､私は必死に下唇を噛んだ｡
｢ﾋﾞｭﾃｨ｣
｢…っ―…｣
俯いたままの私を､声を殺して直立不動でぼたぼたと涙を流し続ける私を､ﾎﾞｰﾎﾞﾎﾞは立ち上がると優しく抱きしめた｡
こんなにもがっちりとした筋肉なのに､抱きしめられるとまるで包まれているような温もりに私は少し驚いた｡
｢…ﾎﾞｰﾎﾞﾎﾞ…｣
｢―……泣くな｡｣
泣くな､
…ごめん､泣いてるんだね､私｡
それでも涙は止まらない｡
｢…死んじゃうかと…おもったぁ…｣
吐き出した言葉はそれだけで､しゃくりで喋るなんて出来なかった｡
それでもﾎﾞｰﾎﾞﾎﾞは私の言わんとしていることを悟ってくれることを知っていた｡
｢―…悪かった､心配かけて｣
｢ふっ…う､う"う"〜…｣
｢ﾋﾞｭﾃｨを守りたかったんだ｡誰よりも何よりも｡｣
｢っ…そ､ンなのｫいらない…!｣
｢……いや､生きるんだ､ﾋﾞｭﾃｨは｡例え俺が…｣
｢…！｣
その言葉の続きを聞きたくなくて､私は乱暴に彼にキスをした｡
｢やめて…好きなのに…｣
この涙は止まらない
*fin*