NOVEL

□Why
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私と破天荒さんのこと。







正直言うと、どうして好きなのかって聞かれても分からない。








確かに、整った顔立ちも、長身に綺麗に筋肉の付いた身体も素敵だし魅力的だと思う。


けれど、それと“好きになる”というのはまた別問題だと思うの。

















「嬢ちゃん」


「―…破天荒さん。」






烏が群れを成して山へと帰っていく。
遠くの空から、夕暮れの典型の様な烏達の鳴き声が聞こえた。

燃える様な夕焼け空が美しかった。



「どうしたんですか?何か買ってきて欲しいものでもー…」

「風邪ひくだろうが。」



私の言葉を無視すると、破天荒さんは自分の首に巻かれていたマフラーを解き、私の首に巻き付けた。

ふわりとした感触が気持ち良くて、微かに破天荒さんの匂いがした。




「―……。」





「…ンだよその顔。」



「あ…、ううん。…破天荒さん、この為に…?」


「悪いかよ?」


「…全然」







今晩泊まることになった山頂のコテージから、夕食の買い物の為に麓のスーパーマーケットへと私は歩いていた。

片道30分程ある道の、半分位まで下っていたのに、わざわざこの為に追い掛けてきてくれた彼が可笑しくて、そしてとても愛しかった。








「―…どうせだったら、一緒に夕食の買い物、しません?」


「…しょうがねぇな。嬢ちゃん1人じゃ到底持てないだろうから、荷物持ちに付いてってやるか」



「ふふふ、ありがとうございます」






ホントは、初めっからそのつもりだったんでしょう、と内心呟きながら、私はとても心が温かくなった。





破天荒さんの金髪は、夕日でキラキラと光っていた。












「今日の夕飯はなんだ?」


「実はまだ決めてなくて。スーパーマーケットに着いてから決めようかと。」



「ほ〜。どっちみち量は多めでな。おやびんが腹空かせて待ってるからよ」





「はいはい」







私はまた微笑む。









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