NOVEL

□★願わくば、その胸の中で
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暗闇の中でも、
そっと私を見つけて

そして、優しく手を繋いでくれそうな











「…そういう人、だと思うの」



私はたぶん恍惚とした顔で、そっとお兄ちゃんの長い髪に触れた。
胡座をかいた彼の脚の隙間に頭を寝かせた私は、紫色の長髪を見るでもお兄ちゃんの顔を見るでもなく、どこか遠くを見つめてそう言った。


お兄ちゃんはただ、優しく微笑み返すしかしなかった。









「―…あ、ビュティ、そろそろ待ち合わせの時間じゃないのか?」


少々オーバーアクション気味に腕時計を私に見せる。
とろんとしていた私の青い目はぱっちりと開くと、跳ねる様にお兄ちゃんの温かな膝から起き上がった。


「いっけない!急がなくちゃ!」




時計の針は午後の5時を指していた。お兄ちゃんの時計はオートマチックだ。

私は弾みで床に落としてしまった[義理と人情]を、小さく謝罪してお兄ちゃんに返す。



続けにベッドの横に置いていた比較的小さなボストンバックを持ち出す。


「明日は何時頃に帰る?」


「そうだなぁ、スズさん次第だけど…、お兄ちゃん達が早くって言うなら早く帰るよ」


「いや、楽しんでくるがいい。ボーボボ達もそう言うだろう。」



「…うん!」








お兄ちゃんは私の頭を優しく撫でる。



「…行ってらっしゃい。」






「うん!行ってきます!」








お兄ちゃんの部屋を慌ただしく出ると、玄関では何故かバナナの着ぐるみを着たボーボボや首領パッチ君達が横一列に並んでいた。

目からはまるで滝の様に涙が溢れている。

……何この空気?




「な、何事…?!」


「「「ビュッティさ-ん!!僕らのビュッティさ-ん!!!どうか行かないで-!!!」」」


「ええ?!;」





「「「食事の準備も手伝います!!つまみ食いももうしません!!パンツも自分の分は自分で洗います!!だから出て行くなんて言わないで〜!!!!」」」





…何この茶番劇。









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