NOVEL

□★禁忌
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「お兄ちゃーん…」
「ビュティ」
小さなノックの音、小さくドアを開け、その小さな顔をちらりと出した。

「どうした…?」
声が、表情が、自分でも分かる程、ビュティと話す時は緩む。
普段の自分からは想像出来ない程、優しくなる。いや、なってしまう。

「怖くて独りで部屋に居れないの…。…お兄ちゃんの所に居ていい…?」
「…勿論。ーほら、おいで。」
そういうとビュティの顔が、パッと明るくなって、トタトタと俺の居るベットへと歩み寄ってきた。

「髪まだ濡れてるじゃないか。」
「ぁ、うん。部屋のドライヤーが壊れてて」
「そうか。明日フロントの人に言っておかんとな」

俺は、おもむろに自分の部屋のドライヤーを取るとビュティの髪を乾かし始めた。

「ふふふ…」
「そのまま寝たら風邪ひくからな」

ビュティのピンクの髪が風でなびく度に、シャンプーの良い香りが漂った。

目の前には真っ白なうなじに細い肩。
無防備なその姿を、何度俺は夢で犯したのだろうか。
考えるだけで罪悪感が胸を焦がした。

…だが。

だが、俺は今も、
妹に欲情している。



コンコン、ガチャ。
「おい、ソフトン。俺の部屋のドライヤーが壊れてんだ。貸してく………」
「破天荒さん」

「ーああ、分かったが、もう少し待ってくれ。ビュティの部屋のも壊れててな。」
「ー…ぁ、ああ」

破天荒の表情が止まっている。

…兄妹にしても、やはり少し密着し過ぎか。

「ダメだねぇ、このホテル。全然配慮が行き渡って無いよぉ。」
「ああ」

俺はカチリとドライヤーを止めると、風で乱れたビュティの髪を整えてからドライヤーのコードを切った。
そしてビュティを放して立ち上がった時に、ビュティの乱れて前が露わになった浴衣を焦って直した。




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