NOVEL

□キミを想う
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たとえば寝る前も

朝起きた時も

他の誰かと喋っている時だって

一番に思っているのは



キミだよ




「ヘッ君」
「え」

ふと、いつもの優しい声で俺を呼ぶ。

「洋服の糸がほつれてる」
「━あ。」
「きっとヘッ君が修行してる時だね」
「…ホントだ、気がつかなかった」

確かに裾の部分が少しだけ破れて、糸がひどくほつれている。

「━貸して、やったげる」
「え?」

「ふふ、大丈夫よ。裁縫なら得意だから」
「い、いいの?」

「勿論!ほら、脱いで」
「あ、う、うん、」

俺は慌ただしく洋服を脱ぐと、ビュティにそれを手渡した。
直に肌にふれた春風は生ぬるかった。

「━…………」

どこから出したのか、裁縫セットがあたかも最初からそこに有ったかのように置かれており、ビュティの手には小さな針。
それを器用にくぐらせて、まるで魔法にでもかかったかの様に洋服の修復が行われる。

「………すげ…」
つい言葉が漏れる。

「━…………」
「…え…」

するとビュティの視線が俺を捕らえた。

「………………ビュ、…ビュティ……?」
「……洋服なら簡単に直せるんだけどね…」

その綺麗な青い目がみるみるうちにくもり、ビュティの表情はひどく悲しいモノになった。

「━……え…?」

するとビュティの視線が、正確には“俺”では無く、“俺の上半身”に向けたモノだと分かった。


ビュティは俺の裸の胸に触れる。





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