NOVEL
□愛さない
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愛さない
勿論だ 誰が愛すか
アイツは敵だ
俺は 愛さない
“愛してる”と言えない
「―…OVERさん」
![](http://id36.fm-p.jp/data/23/honeysheep24/pri/42.jpg)
「……おう」
時々アイツは夜中に俺に会いに来る。
…いや、俺が会いに行っている。
満月の晩に。
合図はこれだけで良かった。
「…逢いたかった…」
桜色の少女は俺の胸に舞い降りた。
「―……俺もだ」
「満月が出るの…私毎晩毎晩待ってた…」
俺は、俺の中の小さな少女を抱き締める。
少し力を入れれば壊れてしまいそうに細く、小さいから、優しく、優しく。
「…お前、また少し痩せてねぇか?」
「ぇえ?そんな事ないよ」
「アイツ等に付き合って無理して、ロクにものが喰えてねぇんじゃねぇのか?」
「―…大丈夫」
少女はそう言って、俺の長い金髪に顔を埋めた。
「…ホントかよ」
「ふふふ、きっとOVERさんがまた一段と鍛えているからだよ」
「…………」
「きゃっ…!?」
俺は少女を抱き上げる。
「軽……。お前がぜってー痩せたんだ。…ちゃんと喰えよ」
「……………ハイ」
そのまま少女を膝に乗せると、丁度良い切り株へと腰を下ろす。
少女は俺を見つめる。
その大きくて青い瞳に俺は弱かった。
![](http://id36.fm-p.jp/data/23/honeysheep24/pri/43.jpg)
「―…………」
そしてその瞳が、何を欲しているのかも分かっていた。
「………淋しかった」
「………ああ」
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