NOVEL

□背徳の情熱
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どうしても
守りたい恋だった


人道に、道徳に逆らってでも、
止められない愛だった






………すまない










愛してる















「………お兄ちゃん」


「―…起きたか。…おはよう、ビュティ」



「おはよ‥」


俺はビュティの桜色を撫でる。
髪の間から覗く、未だ少し眠たげな青い目は、俺を映す。


時刻は朝の4時40分を少し過ぎた頃。









「………もう5時?」

「いや‥あと20分程で5時だ」


「そう…」



時計の針が5を指せば、この時間は終わる。

俺たち兄妹が、法に背き愛し合う時が。







「…じゃあそろそろ服着なきゃ…」


ビュティは起き上がると、その白くて柔らかな肌にシーツを巻き付け、脱ぎ捨てられた服を拾う。

俺も体を起こすと、邪魔な前髪を掻き上げる。




「…………あ」


「どうした?」



ビュティはその場に立ち竦み、苦笑いで振り返った。



「服汚れちゃったー…」

「!!」






「………………悪い」

「えっ…お兄ちゃんのせいじゃないよ…」







ビュティは頬を染めると、それを洗濯機へ入れ洗い、代わりに白のワンピースに袖を通した。

そして洗面所で顔を洗い、見出しを整える。


時計の針は5を指した。











「―…じゃ、お兄ちゃん。私これで‥」


ジーンズを履いた俺は、ドア付近にいるビュティへと歩み寄る。


「―…………」





少し屈んで、ビュティと唇を合わせる。


「………………」






甘く潤んだ瞳がゆっくりと開く。


「…………じゃあ…」


「………ああ」








小さくドアが閉まる音と共に、ビュティが部屋を出て行った。














朝の5時。

これが、俺とビュティが一緒に居られる、ギリギリの時間。

5時以降は、早起きの仲間がそろそろ起き出すからだ。





それにビュティは朝食の支度もある。
人数分作るには、5時からキッチンに立つ必要が有る。















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