NOVEL
□Rain
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それは 突然の雨だった
先刻まで雲一つ無い晴天で、俺は汗だくになりながら、日々の日課であるランニングをこなしていた。
だいたい、今日は皆でゆっくり過ごす日だと決めて、各自、悠々と時間を持て余した。
で、俺は修行。
ボーボボさんは、相変わらずのテンションで、首領パッチと天の助と一緒にハジケていた。
でこっぱちは、そんな首領パッチに引っ付いている。
ソフトンさんはコテージの中で読書。
そう。
俺は、我が愛しの桜色の彼女がどこに居るか定かでないことに気がつき、ランニングぐるみに辺りを探した。
そして、突然襲った豪雨の中で、ひとり木の陰で雨宿りしているビュティを見つけた。
「…………へっくん?」
「―…ビュティ、良かった…」
ガチガチにセットしたヘアースタイルが、雨で情けなくしおれていても、俺はそんなことよりも、ビュティが無事に見つかったことにただ安堵した。
「やだ…へっくんビショビショだよ、大丈夫?」
「いや…俺は全然…、ビュティこそ大丈夫?」
「私は平気だよ」
綺麗な桜色の髪が、濡れて額に張り付いていた。
雨に打たれた洋服も、ピタリと身体に張り付いていて、ビュティの線を如実に現していて、とても色っぽいと思ってしまった。
「……でも良かった。突然降り出したから…びっくりしたし、私ひとりだったから心細くって…。へっくんが来てくれて安心したよ」
「えっ………」
微笑みながらさらりとそんなことを言う。
ビュティはいつだって、俺のハートを震わせる言葉を、あっさりと言ってしまう。
だから愛しいからこそ、少し困ってしまう。
「ほら、へっくん。もっとこっち寄って。濡れちゃうっ…」
「あっ…うん」
ビュティは俺の手を引く。
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