NOVEL

□★rainbow
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その柔らかな雰囲気が




包み込む様な振る舞いが





声が 言葉が 笑顔が





泣きたくなるほど





好きで











「破天荒ーさん」

「おう。どした嬢ちゃん?」


開いた扉の間から、ひょこりとその可愛い顔を覗かせた。

どうやら特別機嫌が良いようだ。







「お邪魔しまぁす」

「ドーゾ。‥ん?なんだ?そのあじさい」


「綺麗でしょ?ふふふ」



ビュティはたくさんの紫陽花の中で、まさに花のように笑った。

俺はビュティのそのくしゃっとした笑顔が、堪らなく好きだった。


「今ね、みんなの部屋を回ってるの。ひとりひとりの部屋にこの紫陽花を飾ろうと思って」

「へー…いいじゃん。」






再びにこりと笑うと、ビュティは紙袋に入っていたシンプルなガラスの花瓶をひとつ取り出した。


「それってこのホテルのか?」

「うん!だめもとでフロントの人に言ってみたら、快く人数分貸してくれて」



「はは、さすが嬢ちゃん」

「?」



どーせビュティが可愛くて貸したんだろ。
分かりやすいんだよ。

俺に灰皿貸すときなんか散々渋ったくせによ。









「!あー夕立だねー」

「ん?お。本当だ。」


ビュティは花瓶に水を入れ、ふと窓に目を移した。

俺も窓の外に目をやると、確かに夕立が降り出していた。



「6月って感じだね」

「はは、確かにな」


「すぐ止むかな」

「どーだろな」



ビュティは、花瓶に薄紅色の紫陽花を2輪、飾った。




「止んでくれなきゃ困るなぁ」

「なんで?」


「白ワイン買い忘れちゃったから、買いにいかなきゃ」
「今日の夕飯なんだ?」


「バーニャカウダ」

「ばーにゃ…?」


「ソースみたいなもの。それに野菜スティックなんかを付けて食べる感じ。」


「へー。すげぇな。嬢ちゃん料理上手だもんな」

「本当?ふふふ、ありがとう」






ビュティは紫陽花を愛でる。

その横顔がひどく愛しいと思った。








「嬢ちゃん、ちょっと座れよ」

「えー、次へっくんの部屋に行かなきゃなんだけど…」



その言葉を聞いた瞬間、俺は嬢ちゃんの腕を引いて、自分の膝に乗せた。









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