NOVEL
□Every little thing.
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「短い金髪、」
「切れ長の目、」
「おっきな手、」
「低い声、」
「―…何だよ;さっきから、嬢ちゃん」
“カリスマ美容師が生む!☆流行のヘアースタイル30選☆”を読んでいた破天荒さんは、少し訝しげに私を見た。
私は彼を見ずに、けれど膝の“料理好きサン必見!!ボリューム満天♪赤ワインで煮込む美味しい肉料理集”を見るわけでもなく、ただ言葉を続けた。
「―私の破天荒さんの好きなとこ。」
「はぁ?;」
破天荒さんは雑誌をベットに捨てた。
そして頭を掻きながら、モダンな黒いソファに三角座りする私の隣に腰掛けた。
「―外見ばっかしじゃねーか。」
「…いーじゃない。破天荒さん実際かっこいいし」
はぁ、と彼は深く溜め息を吐いた。
「―…まだ怒ってんの?」
「何が?」
「俺が昼間逆ナンされたこと」
「…別に〜。」
「怒ってんじゃん」
「怒ってないもん」
「〜…はぁ」
ちゅ。
「……」
「…俺ぐらいの奴なんざ星の数程いるっつーの」
「その軽さもね」
「軽くねーじゃん;逆ナン断ってんだろ」
「キスするのが癖って所で軽い」
「…;あんなぁ…」
破天荒さんは私を軽々と抱き上げ、自分の膝の上に乗せた。
その弾みで雑誌が落ちたことは気にしなかった。
「…嬢ちゃん限定だっつーの。」
「……」
「つか…、分かってんの?嬢ちゃん」
「?なに」
破天荒さんはまた深く溜め息を落とした。
「俺なんかより、嬢ちゃんのが何倍もモテてるしナンパされてんだろ。」
「……」
そう言った破天荒さんは、私の頬に手を這わせた。
何だか私はドキンとした。
「…ほんと、人形みてーな面してるよな」
「……それって褒めてるの?」
「褒めてんじゃん;」
「―…優しい所、」
「あ?」
私はまた指を折る。
「…案外照れ屋な所、」
「クールに見えて、実は調子の良い所、」
破天荒さんは私を見つめた。
私は自分の指を見ていた。
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