NOVEL
□fly high
1ページ/4ページ
ゆっくりと手を伸ばし
風に触れ
羽ばたけたらいい
この青々とした大空に
![](http://id48.fm-p.jp/data/19/honeysheep69/pri/26.jpg)
夏が終わる香りがした。
「ランバダさん」
「―…おう。」
真っ白の、極めて軽いワンピースを着た女が、ゆっくりと近付いてきた。
俺は緩みそうになった頬の筋肉を引き締めると、恐々歩く女の手を取った。
「こ、怖いよ〜」
「んだよ、相変わらずのか弱さだな」
「…っ誰だってこんな所怖がるよ〜」
…そうか?
ここは、地上約95メートル程の69階建てビルの屋上。
爽やかな快晴と時折吹く風が気持ちいい。
「何でいつもランバダさんは、こんなめちゃくちゃな待ち合わせ場所を指定するのよ…」
「いいじゃねーか。ビュティが落ちたらちゃんと拾ってやるよ」
「っ…そういうことじゃなくて〜」
余程怖いのか、ビュティは俺の背中に抱きついて離れない。
…いちいち可愛いなチクショー。
「…今日は何て言って出てきたんだ?」
「―…買い物に行ってくるって…。」
「はは、奴らついて来ようとしなかったか?」
「したよ、大変だった…」
―…俺とビュティは、周りには秘密の関係ってヤツで、敵同士であることにも関わらず、愛し合ってしまった訳だ。
ま、敵同士といっても、以前ボーボボには(カナリ不本意だが)救われた例があるわけで…、別に公言したって俺はいい訳なんだが、ビュティがそれを憚った。
『だって恥ずかしいじゃない』
女心ってのは複雑で、俺には何が彼女にとっての羞恥なのかさっぱりだった。
…けど、ま、アイツが嫌っつーなら俺も秘密にしといてやる訳。
(周りに秘密って状況も、なかなかのスリルと背徳感があって愉しい)
「ランバダさんは高い所が好きなの?」
「あ?まぁな。少しでも空が近い気がして気持ちいい」
「!へぇ…、」
<