NOVEL

□★Come closer
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もう少し 近付いて









僕らなら 大丈夫















「いい匂いだな〜」

「なぁビュティ!さっきから何作ってんだよ〜!」


「ふふふ、出来てからのお楽しみだよ」



先刻からその言葉ばかりを繰り返し、キッチンカウンターに乗り上げしつこく纏わりつく首領パッチと天の助を阻む。

白いフリルのエプロンを纏った彼女はまるで愛らしい新妻だ。
(あ、いや別に誰のとかじゃなくて…)





「早く出来ねーかなぁ‥」

「ふふ、もうちょっとで焼き上がるよ」



「ビュティは何を作ってるのら〜?田楽は焼く必要はないのら〜」

「ばっか、田楽なんて作る筈ねーだろ。あれだよあれ。がんもだよがんも。」


「んなの作る訳ねーだろが―!!!」



すかさずボーボボさんの鼻毛での容赦ない突っ込みが入った。

いつもの事なので、ビュティも、ダイニングにいる俺含め全員が全く気にしない。(あ、でこっぱちだけは首領パッチに駆け寄った。)




そして変わらず、オーブンからは甘い菓子類の香りが辺りを包み込んでいた。



「あ、そういえばみんな甘いの平気?」

「「「平気で〜す!」」」


「破天荒さんは?平気?」


「ん?あ、まぁ。そんなに甘ったるくなきゃな。でもコーヒーはくれな。いつもの感じで」


「はい!」





…“いつもの感じ”
そりゃあずっと一緒にいて、生活してればそういう言い方になるのは当たり前だけどさ‥。

やっぱりちょっと勘に障る。相手がでこっぱちだから余計‥。



…はぁ、俺って余裕無い。(泣)








「へっくん?」


「!えっ…」



気が付くと、ビュティの青い瞳が俺を見上げていた。


「もしかしてへっくん、甘いの嫌だった…?」

「え?!!!;」


「はぁ〜?そうなのかよヘッポコ丸〜」

「いーじゃんいーじゃん♪お兄ちゃんの分までポコミ達が食べれちゃうもん☆☆」




「なっ…ちがっ違うよ!俺好きだから!!全然!!」



チーン♪


「あ!鳴った〜♪鳴ったよお姉ちゃん☆」


「本当だ」







「……」








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