NOVEL

□story
1ページ/2ページ



「俺と一緒に生きてってくれるか」









穏やかな昼下がり。
花畑のド真ん中で、少女に日傘を差しながら、そう言った。

花冠を作っていた少女は、その大きな目をぱちくりして俺を見つめた。





「…どうしたの?いきなり」

「っ…いいから嬢ちゃんの返事を聞かせろ!」



「返事って…何が?」








どんだけ鈍いんだオイ。


いや…俺も唐突過ぎたか?
他に言葉が見つからねーんだ、しょうがねぇだろ。







「もう1度言ってよ?」


「っ…2度も言えるか、アホ」


赤い頬を隠して、俺は背を向けた。








すると瞬間、大きな突風が吹いた。

「きゃッ…」

「!!!」



俺はビュティを抱き締めると、風の吹く方を背にする。

花弁がひどく舞って、微かに開けた俺の視界にはピンク色の世界だけが広がっていた。









十数秒程で風は止み、再び元の穏やかな花畑へと姿を戻した。

「ありがと破天荒さん」


「怪我無いか?」

「うん。破天荒さんがちゃんと抱いててくれたから」


「そうか…。、ここ丘だからな、風が強ぇんだよ」



「!!あっ」


ビュティの髪を梳かしていた俺の手が一瞬強張った。





「どうした?!;」


「…日傘飛ばされちゃったぁ〜」



「あちゃー;…ま、しょーがねぇな;後で新しいの買ってやるよ」

そう言って桜色を撫でたら、ビュティは笑った。









「…ねぇ破天荒さん。さっきのって…もしかしてプロポーズ?」


「え…、…!!!;おっ前…聞こえてたのかよ…!!」


「聞こえてたよ。だけど意味が分からなかったの。…で、さっき抱き締められた時にハッとしたの」



「プ、プロポーズってか…」

「?違うの?」






そこまで考えてなかった。

いや…違くて、ただ、もっと単純に、純粋に、お前とずーっと一緒に居たいと思ったんだ。





…あ、これが結婚したいってことなのか?



「…破天荒さん?」








俺は近くに咲いてた白爪草を取り、ビュティの細い左手の薬指に巻き付けた。



「…とりあえず、予約。」









「俺と生きてって欲しいよ、一生。…嬢ちゃん」









「…もちろん」









これから作ってく

俺とお前の物語








*fin*
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ