NOVEL

□HAPPY HALLOWEEN
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隠された思惑と意図で自分のポシェットがズタボロにされたことを知った田楽マンは、このやろ〜!と首領パッチに殴りかかった。
しかし余りのリーチの差に、田楽マンの頭を首領パッチは余裕で抑え、まるで某大御所芸人の持ち芸の様になった。

そんな二人など誰も気に止めず、全員がビュティの器用な小さな手に目を奪われていた。



ガタガタと小さな振動が響く。ビュティはミシンとひたすら格闘した。




「どうだ?ビュティ、夜までには間に合いそうか?」

「う〜ん…どうかなぁ;、ボーボボ、今何時?」


「9時を少し過ぎた所だ」

「簡単なデザインだったらなんとかなるかもしれない…;」



そんなビュティの苦労をよそに、木製の机に顎を乗せ、ポコミはキラキラとした目でビュティの魔法の手によって生まれようとしている自分のコスチュームを眺めた。

いつの間にか、同じく木製の床で、首領パッチや田楽マン、ガ王に天の助等が思い思いの自分のコスチュームデザインを紙に描いていた。







「…っていうかボーボボ、ハロウィンの衣装なんか作ってどうするの?」

視線は全くミシンから逸らさず、ビュティは問うた。



「ん?この近くでハロウィンパーティーが催されるらしいからな」

「パーティー?」


ボーボボはビュティの視界のど真ん中、ミシンの前へと何やら1枚のチラシを印した。

自分の苦労の根元に興味を持ったビュティは、少しばかりミシンの手を止め、オレンジと黒が基調となっている鮮やかなチラシを凝視した。




「元は町おこしの理由で数年前から行われていたらしいんだが、これが年々反響を呼んで今では町の1大イベントになったらしい」

「ふぅ〜ん」


丁寧なボーボボの説明に相槌はうつものの、やはり日々の家事労働とこれから待っている裁縫の過酷労働のハードスケジュールは、少女の気力を奪った。


ソフトンはそんな少女を気遣い、温かなココアを淹れた。








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