NOVEL
□キミを想う
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「ビュ、ビュティ━…っ?!」
ビュティの意図に気付けない俺は、ただ赤面するしかない。
「……きず……」
「え…」
その手を見ると、ビュティは俺の胸に残された戦いの傷に触れている。
「痛く…ない?」
「……ビュティ…」
傷を小さく撫でる。
「…痛く、ない…よ?」
「本当に…?」
潤んでるその青い目は一層綺麗に澄んでいた。
「━痛くない、…本当に。ビュティが…そうしてくれるから…」
「━……!」
ビュティの頬が赤く染まって、傷を撫でていたその手を離そうとした。
俺はビュティのその手を掴む。
「!」
「…きいて、ビュティ」
「…ヘッく…」
「俺は強くなりたいんだ。大事な人を守りたいから。」
きっと、今の俺の顔は実った林檎よりも真っ赤だろう。
「…俺、いつもビュティのこと考えちゃってる。朝も…昼も…、毎日。」
「………」
「ホントは…敵と戦ってるのに女の子のこと考えちゃってなんてダメなんだ…」
「………ん……」
「だけど…俺はどうしたってビュティを一瞬も忘れることが出来ないから…、だから…俺はその分まで強くなんなきゃいけない…」
「………ヘッ君」
尚も震えるこの唇を噛み締めて、俺は言葉を伝える。
「………ごめん、ビュティ…、……………好きだ……、好き、だ………」
「━……………」
「…好き…だ…」
「………うん、」
再び春風が吹いたと思ったら、肌にふれるそれはあたたかくて、そのせいか、涙が出そうになった。
俺とビュティは小さく唇を合わせた。
朝も
昼も
夜も
俺は ただ ただ
キミを想う
*fin*