NOVEL
□moment
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予想通り無言のビュティ。
…俺ってそんなに印象悪ぃーか?
「…………なぁ」
「は、ハイ!?」
「………何、買うんだ?」
「あ…えっと、夕食はカレーなので、その材料を…」
「………つか…店、あんのか?」
「………………」
もう30分は歩いたろうに、一向に山道は抜けない。
辺りはもう薄暗くなってきていた。
「………確実に下ってきているとは思うんだけどなぁ…………、もしかしたらあと30分は歩かないとイケナイかもです…」
「さんじゅっぷんって…オイ…」
片道1時間?!
往復で2時間かよ!
だからボーボボはわざわざ俺をビュティの買い出しに同行させたのか。
…正確な判断に拍手だな、オイ。
「あの……破天荒さん、ごめんなさい。こんなことに突き合わせてしまって……」
「―…なんで嬢ちゃんが謝んだ」
「え…な、なんとなく…」
「なんだそれ」
フランス人形の様な整った顔だちが、不意をつかれたらしく、ふ、と、人間味を帯びた。
「―…………」
「…………なんだよ?」
「破天荒さんが笑った所…初めて見ました」
「あ?」
「あ…いえっ何でも無いです」
……俺ってそんなに笑ってねぇか?
「……笑ったトコ?」
「…………ハイ」
「変?」
「いえ別にっ変じゃなぃです」
「…ただ…」
「ただ?」
「…破天荒さん、いつもクールだし…しかも金髪だから…チョーコクみたいで…。だから笑ったのがなんか不思議で…」
チョーコク?
「彫刻?」
「あっ…ごめんなさい!失礼でしたね…っ」
オイオイ。
俺はお前を人形だと思ったんだぜ?
……案外俺等って…
「っ…はっ…」
「え!?え?!」
可笑しくて、俺はまた笑った。
“そんな気ィ―使って喋んなくていーぜ”
それから会話は途切れることは無く、気がついたら街についていた。
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