NOVEL

□moment
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買い物は慣れた様にビュティが行い、俺はその荷物を持った。


「大丈夫ですか?私、ちょっと持ちます?」

「いいって。大したもんじゃねぇよ」

日々鍛錬を積む俺にとっては、本当にどーってことない重さだったし、第一そんな細っせぇ腕に物を持たせるなんて事は、間違っても出来ねぇ。


「はぁ、またこの山道を帰んのかよ」
「確かにちょっと疲れますね」

俺はそうは言ってみたが、実際そこまで山道を歩く事は憂鬱じゃなかった。

…きっとビュティと居るのが心地よくなっていたからだ。



その日を境に、おやびんと戦いだけしか見えなかった俺の世界に、嬢ちゃんが入ってきたんだ。

少しずつ、少女を意識する気持ちが強まってきている事を、俺自身分かってはいたが、何をするでもなくこの気持ちをただ隠した。





「破天荒さん」
「―…………」

「起きて下さい、夕ご飯出来ましたよ。今日はバーベキューですよ」

「……ん……」


いつの間にか俺は草むらで眠っていた。

ビュティがかかんで俺を覗き込む。桃色の髪と大きなピアスが小さく揺れた。


「ん〜……」
「ふふふ、気持ち良さそうに眠ってましたね」

「…そうか?」

嬢ちゃんの夢をみていたんだ、と、寝ぼけ半分の俺はうっかり言いそうになったが、直ぐ目が覚めて口を噤んだ。


俺は気だるい体を起こすと、ビュティの大きな青い瞳がくりくりと動いた。

「葉っぱついてますよ」
「ん?」

座っている俺に対し、立っているビュティには俺の頭は余裕の距離。
俺の金髪に優しく触れ、パラパラと葉っぱが落ちる。


「………サンキュ」
「ハイ!―早く来てくださいね、皆待ちくたびれて食べちゃいますよ」

それだけ言うと、ビュティは足早に俺の元を離れ、賑やかな輪の中へと戻った

俺も腰を上げ、同じ輪へと歩む。

…緩んだ口元をきつく締め直しながら。






―好きになる予定じゃ、無かったんだけどな…









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