NOVEL

□愛さない
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「―…口にガムテープ貼るっていうのはどうかな?」


「それじゃあキスが出来ねぇだろう」

俺は、再び少女に口付ける。だが、今度は優しく。





「…そんなに俺が欲しいか」

「…冗談だよ」




俺は、少女以外を抱けない。

いや、抱きたくねぇ。



だが、少女は違う。

少女は、首に淡く痕を残している。
三日月の夜、他の誰かの愛を受けているからだ。







「―…今度は誰に抱かれた」

「…誰でもいいでしょ。OVERさんの代わりだよ」



「誰でもよくねぇ。言え。」

「―…言ってどうするの」

「………………」


「魚雷さんの時にみんなを虐めるんでしょ」


「………虐めねぇ」



「………ウソ。」

「俺はもうこれ以上の嘘は付きたくねぇ。嘘はひとつ持ってるだけで充分だ」

「………………」



少女は静かに俺の首もとに顔を寄せる。

そして尖った俺の耳元で、小さく囁いた。









「―…へっ君に…破天荒さんに……昨日の夜は…ボーボボ」






俺はその瞬間、左腕で巨大鋏を繰り出すと、隣にそびえ立っていた大木を切り倒した。

ズシン、と鈍い轟音が辺りに響き渡った。




「―……………」


だが少女は顔色ひとつ変えない。
これはいつものことだからだ。








「…………魔女が…」


「魔女で結構です」




畜生 忌々しい

この桜色の愛くるしい恋人が、俺を恋うて、他の男に抱かれている所なんか…
反吐が出る



アイツ等の首を、カッ切ってやりたくなる。

俺が、俺がこんなにも少女を欲するのを我慢しているというのに、アイツ等は悠々と少女を手に入れるのか。

しかも、未だ年端の行かないこの青眼の少女を、どうして其処まで性の欲へと溺れさす事が出来よう。








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