NOVEL
□★secret lily
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「何か嬉しいことでも有ったのか?ビュティ」
鼻歌混じりに夕食を作るビュティを、流石に変に思ったボーボボが尋ねる。
全員が、ビュティの作るトマトのチャウダーの香ばしさに鼻をひくつかせながら、話を聞いていた。
「ふふふ、ねぇボーボボ。私、明日出かけてくるから」
「?どこか行くのか??」
ビュティはスープの味をみて、顔を上げた。
「あのね、スズさんと買い物してくるの。いいでしょ?」
「スズ?」
「―…先刻街にビュティと出た時に会ったんだ。彼女も軍艦と共にこの街に滞在するらしい」
そう至って事務的にソフトンが伝えると、キッチンに歩みビュティの料理を手伝い始めた。
尚もビュティの鼻歌は止まない。
こんなに楽しそうに振る舞う少女を見るのは全員久しぶりだった。
そんなビュティを憚る理由はひとつも無い。
「良かったじゃないか。ビュティ。明日はスズと2人で楽しんでくるといい」
そうカウンターから長い腕を伸ばし、ビュティの桜色を撫でると、ボーボボは優しく笑った。
すると他のメンバーも、次々と少女に微笑みかけた。
「女の子同士、楽しんできてね!ビュティ!」
「ま、せいぜい遊び歩くといいわ。明日はこのパチ美がヒロインよ!!」
「―…また直ぐに戦いは始まるからな。明日は嬢ちゃん、目一杯楽しんでこい」
「っ…ハイ!ありがとう、みんな!」
可愛い可愛い桜色の少女。
自分達の目から離すのは少々心配ではあるが、あのしっかりとした金髪の少女が一緒なら安心だと全員が思う。
ビュティより4つ年上で、その実力も決して見くびれるものではないので、万が一、ビュティが危険な目に遭ったとしても安心出来る。
そして何より本音は、“同性”の友人であることが、全員の快諾の理由である。
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