NOVEL
□★secret lily
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「おはようございます!」
約束通り、スズは時計の針が9を指す少し前に、ビュティ達の宿泊する部屋へとやってきた。
天の助が彼女を部屋へと招き入れる。
「あっ…おはよう!スズさん!…ごめんなさいっ…朝ご飯の片付け…も少しで終わるので…もちょっとだけ待ってて下さい」
桜色の少女はそう言いながら、ヘッポコ丸の助けも受けながら忙しなくキッチンを動いている。
「……?ご飯はご自分達で作られているんですか?ホテルでは…」
すると、スズをソファへと座らせ、ボーボボが口を開いた。
「勿論ホテルのレストランもあるんだけどな、長期滞在の場合は…毎日だと、この人数だし、金が馬鹿んならないからな。キッチンの有る部屋を借りて、ビュティに料理を作って貰うんだ」
「ふふふ、そういうこと」
拭いた食器を片付け終えると、ビュティはエプロンを外す。
そしてせかせかと出掛けの準備をすると、鏡で外見のチェックをする。
「―…じゃあ行ってくるね、みんな」
「「「行ってらっしゃーい」」」
「大変ですね、あれだけの人数の食事を毎日作るなんて…」
「確かにね〜。だけどみんな手伝ってくれるし、何だか最近私、料理作るの上手くなった気もするんですよね。それも嬉しいし、ふふふ」
「…私もいつかビュティさんの作った料理、食べてみたいです」
「!嬉しい!!是非!」
ビュティの笑顔は絶えない。
![](http://id36.fm-p.jp/data/23/honeysheep24/pri/68.jpg)
スズはいつだって、自分が嬉しくなる様なことを言ってくれるし、してくれる。
そう。この大都会の街の、流れる様な人混みに自分が惑わなくて済むのは、スズが居てくれるからだ。
ちゃんと会話もしてくれているのに、前もしっかりと見て、さりげなく自分をエスコートしてくれている。いつの間にか車道側だって歩いている。
「………っ…」
ビュティは嬉しくてスズの手を握る。
スズは、ビュティのその無邪気な可愛さに、自然と笑みがこぼれた。
「どこへ行きます?」
「うんっ…!じゃあ服!服が見たいですっ…」
「了解です…!」
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