NOVEL

□背徳の情熱
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俺は立ち上がると辺りを探す。

色とりどりの花が一面に広がっており、先刻まで読書に夢中になっていた俺の目には眩しかった。



「ビュティ…?」




妹と同じ桃色が、その花畑には幾千と有り、一歩間違えれば見間違えてしまいそうだった。





俺は花畑の中を進む。









『〜……〜…〜…』
『〜〜…〜……』


「!!」


すると近くで人の話す声が聞こえた。






「ビュティ…?」


声のする方へと歩みを進めると、そこには、自分の目を疑う光景が広がっていた。







「破天荒さん…」

「じっとしてな」



ビュティの白く細い脚に、破天荒が自らの唇を付けていた。



「っ………!!!」









俺は頭で考えるよりも先に、身体が動いていた。

破天荒の胸ぐらを掴む。




「っな…?!ソフトン…?!」

「お兄ちゃん…!!」


「貴様っ…ビュティに何を…っ!!」







そう言って殴りかかろうとした瞬間、ビュティが俺を制止した。


「ちがッ…違うよお兄ちゃん…!!誤解だよッ…!破天荒さんは私を助けてくれたの…!!」


「!なに?」






「私、さっき毒蜂に刺されちゃってね…、そしたら私を見かけた破天荒さんが、毒を吸ってくれてたの…。だから…」


そう言うとビュティは、真っ白のワンピースから覗く脚をこちらに見せた。

確かに赤くポツリと腫れていた。







「―…………」


俺は破天荒の掴んでいた胸ぐらを離す。









「すまない破天荒。…大丈夫か?ビュティ」


「うん、私は平気。―…破天荒さんこそ大丈夫?私の毒…吸っちゃって…」





「ばぁか。ちゃんと吐き出したし、んな毒、嬢ちゃんはともかく、俺の身体に効く筈ねぇだろ」


破天荒はビュティの頭を乱暴に撫でる。


その目は俺が朝見た、ビュティを愛しく想う奴の目だった。










「―…それに、もし侵されても、嬢ちゃんからの毒なら構わねぇよ」






―…!!!!!!!












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