NOVEL
□Rain
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「こんなに濡れて…へっくんの髪の毛、お風呂あがりと一緒だよ」
そう言ってビュティは、その白い指先を、俺のヘアーワックスやらスプレーやらでべたべたの髪に触れる。
ビュティは、雨に打たれたことによって、人魚姫の様だった。だから自分が、雨に打たれた鼠の様に醜い気がして、恥ずかしかった。
「ふふふ、…なんだかへっくん、カッコいいね。どきどきしちゃう」
「???!!!!」
なにを言ってるんだ。
ビュティは。
「へっくんって、意外と髪の毛短いんだね。私、あんなにへっくん普段たってるから、すごく長いのかと思った」
「………………」
俺は全く意図の読めないビュティの話しにただ困惑していた。
―…すると。
「……もう、鈍いなぁ…。へっくんは…」
そう言って俺の手を小さく握った。
「――――!!!!!」
俺の心臓は大きな衝撃を喰らった。
「…ビュ…ビュティ…」
「私…へっくんとこうしてて、どきどきしてる…。だけど、へっくんがそんなんじゃあ…私ひとり、馬鹿みたいじゃない…」
桜色の人魚姫は、そう言うと恥ずかしそうに俯いた。
どきどきしてる?
俺だけじゃなく
ビュティも?
俺は、胸の高鳴りが最高潮で、このまま心臓に羽が生えて、飛べてしまえるんじゃないかと訳の分からないことを思った。
ただ、俺はとりあえず、ビュティを力一杯抱き締めた。
「へっくッ…!」
「っ〜…!!」
いつもいつも2人きりになれない!
こんな絶好のチャンス、俺は逃すワケにはいかない!
「…っ……へっくん…」
「………ビュティ…好き、だよ…」
そう言って、少しだけ身体を離す。
その代わりに、2人の唇が近づいて、そして、交わる。
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