NOVEL

□イケナイ太陽
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「海に行こう」



「「「「……は?」」」」




ボーボボがそれを浮かんだのは自然で、ある意味必然だったのかもしれない。












* * * * * *




「「おお〜!!海だぁ〜!!」」







一行の目の前には、青々とした海が広がっていた。
ビュティと日傘を背負っていたソフトンからも、笑みがこぼれた。

首領パッチにポコミやガ王、溶けていた筈の天の助もあっという間に再生し、歓喜の声を上げて海へと飛び込んだ。





海は近かった。

近いと言っても、小一時間は歩いた訳だが。


元々海に囲まれた地であり、首領パッチ等は、ずっと海水浴をしたいと騒いでいたのだ。
約束をしていた訳では無いが、そこまで懇願されると連れて行かない方が悪者の様だった。

理由は何にせよ、皆が喜んでいるので、ボーボボも嬉しかった。






「―ビュティ、おい、大丈夫か?」


「―……」


「ビュティ」




ボーボボとソフトンは、心配げに、優しげに、少女の名前を呼ぶ。

瞑っていた青い目が、ゆっくりと開いた。



「………ボーボボ…」






「海に着いたぞ」


「え…?」


ぶつかり合う涼しげな波の音に、少しだけ鼻にかかる潮の香り。

ビュティは一瞬夢でも見ているのかと思ったが、その心配は直ぐに砕けた。



「お姉ちゃ〜ん!!!」

「ビュティー!!早くこっち来いよ!海入りゃ熱中症何て吹き飛ぶぜ〜!!」




「おらっ早くしろよ!」

「えっ…ちょっ…首領パッチ君…!」




首領パッチは無理矢理ソフトンの背からビュティを下ろすと、強引にその手を引いた。


弾みで波にさらわれそうになった日傘を、破天荒が焦って掴んだ。








「おらっ!」

「きゃっ…!!」



バシャッ







「てめっ!首領パッチ何してんだぁ!!」

「ビュティ!!大丈夫か?!!」




補足するようだが、首領パッチは、あくまで良心でビュティを海水へ突き飛ばしたのだ。









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