NOVEL
□Every little thing.
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だから、後者である私への肯定が嬉しかった。
それを成長だと呼ぶようで、誇らしく思った。
私と生きて、私の存在が彼にとってプラスになることが幸福だった。
「―…?どした嬢ちゃん」
「ううん。何でも無いよ。」
何だか幸せ。
…私って浮き沈み激しいのかな。
「…愛してるよ嬢ちゃん」
「ふふふ、私も」
「俺も嬢ちゃんの全部好き」
「ほんと?」
「ほんと。」
破天荒さんはそう言って私の頬にキスをした。
次に前髪をよけて額にもキスをした。
ちゅ、と音がした。
「―……」
破天荒さんは私をとても丁寧に扱う。
まるでガラス細工に触れるようだった。
それを何故かと以前訊ねたら、「人形みたいだから」と言われた。
私も、時々破天荒さんの考えは分からなかった。
でも、それでもやっぱり好きなんだから、不思議よね。
「…破天荒さんは指も長いね」
「まぁ手がでかいからな」
私達は掌を合わせた。
「ほらみて。こんなに違う」
「うわ〜。嬢ちゃんちっちゃいな〜。ますます人形じゃん」
「うるさいなー」
「俺のはゴツゴツしてて指すんげー太いけど、何よこれ嬢ちゃんの。針金じゃん。」
「針金って…;」
すると破天荒さんは私の手を取って、“針金”と呼んだ指にキスをした。
「―…いつかこの指に、俺との指輪をはめんだぜ」
「!え…」
上目遣いでそう言った。
余りにも力強くて目眩がした。
「…嫌か?」
「……まさか。」
待ってますよ、と付け足してにこりと笑ったら、破天荒さんは私を抱きしめた。
ちょっと息苦しいけど…、私も嬉しかったのでそのままにした。
「…大好き。」
「俺も。」
そう言って少しだけ身体を離すと、私達はゆっくりと唇を合わせた。
クーラーを強めたのに相変わらず暑く感じたのは、この夏のせいか、それとも抱きしめた体温のせいか。
私はまた頭の隅で、幸せだと思った。
*fin*