NOVEL
□fly high
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「…なんだよ;」
「ううん、何だか珍しいなぁって。ランバダさんがそんな風にものを言うなんて」
「あのなぁ;俺だって普通にものぐらい言えるっての」
「…そうかな。ランバダさん、まともに私に好きって言ってくれたこと、一度しかないじゃない」
「!!おま…っ、それとこれとは関係ないだろうが」
「一緒だよ」
ビュティは俺から離れると、未だ少し恐々とした足取りで、ビルの端へと歩く。
そして「うわ〜高い〜」と洩らした。
「だって時々不安になるのよ?ランバダさん、本当に私のこと好いてくれてるのかなって」
東から吹いた風に、ビュティの桜色とワンピースが揺れた。
「…いちいち言葉にしなきゃ分からねーのかよ」
「言葉にして欲しい時があるの」
「―……」
これだから女ってのは謎なんだ。
一度好きだと思ったら、死ぬまで揺るがないのが当然で本当だろう。
だいたい、この俺様がひとりの女にここまで動かされまくってるって時点で解れよ。
「…きれー…」
「あ?」
「空。ランバダさんの言った通り、すごく綺麗だね」
「………」
否、ビュティだから俺は分からないのかもしれない。
先刻まで笑っていたかと思えば泣いていたり、怒っていたかと思えば笑っていたり。
それこそ空の様な女だと思う。
「きれー…」
![](http://id48.fm-p.jp/data/19/honeysheep69/pri/27.jpg)
「―……」
それに幾ら翻弄されても怒れないのは、やっぱ彼女のそういう所もまるまる全部、愛しちまってるからなんだと思う。
…言わねーけど。
「みてみてランバダさん…!何だか空が近く感じる!」
「…おーい、あんまし端行くと落っこちるぞ」
「ふふふっ大丈夫!もう慣れた!」
「いや…慣れたとかじゃなくて、気をつけろっつーの」
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