NL小説
□さくら
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そして、この高校で出会えた奴らとも別れる日でもある。そりゃ一生会えないわけじゃないが会える機会は極端に減る。
騒がしい毎日で時にはウザったく感じた時もあったが、いざこうして別れの日を迎えるとしんみりしてくるのが不思議だ。こういう気持ちってやっぱ・・・・
「・・・・寂しいね」
桜を見上げたまま井上がぽつりと呟いた。その言葉に俺は内心驚いていた。今俺が感じていた気持ちと一緒だったから。
「たつきちゃんや千鶴ちゃん、浅野くんに小島くん、石田くん、茶渡くん、それに・・・・・・・・黒崎くんとも毎日会えなくなるんだよね・・・・」
「井上・・・・」
「でもね!悲しくはないよ!」
「へ・・・・?」
ちょっと落ち込んでいると思ったらいつもの井上の笑顔になった。相変わらずこいつの展開の早さにはついていけない。
「だって一生会えないわけじゃないし、会おうと思ったらいつでも会えるでしょ?」
「まあな・・・・」
「それに・・・・」
井上はいつもの笑顔で、でも瞳は強く真っ直ぐ俺を見つめながら言った。
「離れてても心が繋がってるから」
ふわり
ふわり
舞う桜
「・・・・心・・・・が?」
「うん!心が繋がってるからいつもみんな側に居るの。だから悲しくないんだよ」
散りゆく姿は別れを表しているように見えるけど
「だから、黒崎くん。
また会おう、ね?」
「・・・・ああ、そうだな」
俺達は再び出会う
君と約束したこの桜の下で
終わり