M.L.T.
□come back!?
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「行ってきまーすっ!」
おはようございます。
吉岡 愛佳です。
今日から晴れて中学三年生っ!
…なのですが、
「ちっ…遅刻!」
走ってギリギリ間に合うか間に合わないかの時間。
家を勢いよく飛び出して、走ってるけど、間に合うかなぁ…?
でっ、でも三年初日から遅刻とか嫌だし、クラスも気になるし…!
そんな必死な私の目に止まったのは、余裕綽々と欠伸なんてものをしながら歩いてる少し茶色がかった髪の男子。
あの緑の鞄、ウチの学校に違いない筈なんだけど…
「うっわっ、あと五分っ!」
道の端に並ぶ店の中の時計で確認。
残り少ないスタミナをフルで活用してスピードを上げた。
「うっわ、愛佳何でそんなに疲れてんの?何に追っかけられたの?」
「いや…追われては…無いけど…」
大きく肩を上下に揺らしながら、ゼェゼェと口で呼吸する私を見て、友人の矢田 恵里が真実化した推測の質問を中心に聞いてきた。
まず推測を推測にただしてから、ゆっくり深呼吸して息を整える。
「ふぅ…。いや、遅刻しそうになっちゃって…」
大分落ち着き、自嘲を含みながら笑って答えて席に着くと、丁度チャイムが鳴った。
チャイムが鳴ったといっても、別にそれピッタリに先生が来るわけじゃないから教室のざわめきは収まらない。
「ああ、新年度早々遅刻もあれだもんねー」
「だから必死に走ってまいりました…」
ガクン、と首を落とすとほぼ同時に教室のドアがガラガラと音を発てて開き、恵里はまたね、と自分の席へ戻った。
「はい、日直。」
それから朝の会、先生の比較的短い話を終え、始業式の為廊下に並んで体育館へ向かう。
何だか若干他のクラスは騒がしいけど…、まぁいいか。