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□サイダーと帽子
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放課後、誰もいなくなった、冷房の切れた教室は、西日がさしこんで少し暑い。
私は自分の机に頬杖をついて、ヤツがかえってくるのを待っている。



サイダーと帽子



じわじわ滲んでくる汗をミニタオルで拭って、私は机に突っ伏した。

…暑い。

私の席はこの真夏には過酷な窓側の後ろから二番目。もう日直も帰ってしまってクーラーをつけられない。
せめてもの暑さしのぎにとカーテンを閉めているけれど、正直気休めにもなっていない。

私は腕時計をちらりとみてため息をついた。

…だめだった、のかな。


そもそも私がこの教室にいるのは、ある男の一世一代の告白の結果をきくためだった。
彼、宍戸亮の、ミス氷帝への告白。

四月の席替えで隣の席になって以来よく宍戸と話すようになった私はごく自然に彼に好意を抱くようになり、そして彼はごく自然に私に恋のキューピッドのような役目を頼んできたのである。

よくまあ人の気もしらないで、と言いたくなったけれど、気づいたら引き受けていた。彼女に勝ち目なんてないだろうし、なにより、彼女のことを話すときの目をきらきらさせていつも以上に少年ぽくなる宍戸が、好きだった。



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