basara
□過食症と拒食症
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『…ぅ…ぁ、』
静かな厠に響く女の呻き声。
『ぇ…あ…おぁ』
女の額には脂汗が滲み、目からは涙が溢れ出している。
『う…、…っ!』
咄嗟に女は喉の奥深くまで突っ込んでいた自分の手を抜く。刹那。
その手を追う様に女の口から吐瀉物が出てくる。
食べた物を吐く。
そしてまた別の物を腹に入れ、出す。彼女にはこの行為は初めてではなかった。
1度吐いてはまた手を喉に突っ込み、また吐いては汚れた手で喉をめちゃくちゃに掻き回す。
やってはいけないと解っていても本能が食べたい食べたいと告げる。体が動く。食べ物を求めている。
嘔吐により生理的にぽろぽろと流れる涙に、まるでそんな私の懺悔を表しているかの様だとななしは心の隅で嘲笑う。
そしてまた行為に没頭する。
背後からの射抜く様な視線に気付かずに。
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