basara
□えびばでポッキー
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「ななし。んっ」
『は?』
そう言った彼はポッキーを口に啣え、顎をくいっと突き出してきた。
えびばでポッキー
『…は?』
政宗のいきなりの行動に、頭がついていけないななしは再び素っ頓狂な声を上げる。
「だから、んっ」
『…』
「Shit…ノリ悪いぜ?honey.ほれ」
早く啣えろと政宗が更に顔を近付ける。
羞恥からなかなか行動に移さないななしを見て、もどかしさと苛立ちを覚えた政宗は遂に強制手段を取る。
ポリポリ
急にポッキーを食べだした彼を見て、諦めたのかと安堵するななし。
それも束の間。彼の口のポッキーが残り2、3cmになるかと思った直後。不意に政宗がななしの顎を掴む。
驚きで抵抗するのを忘れた彼女を余所に、政宗は当たり前の様に口づけをする。
『ん!…ふっ』
「……」
『…ん、ん…ぅ』
息苦しさに政宗の胸を押しやるが、びくともせず両の腕は力を失っていく。
互いの温度で溶けていくチョコレートに、脳まで甘くとろけてしまいそうで。
この頭がくらくらするのは、息苦しさか、それとも…。
甘い波に飲み込まれながら、とろけた脳の片隅で思う。
(…たまには、こういうのも良いかもな)
久しぶりに愛を確かめ合った。そんな昼下がり。
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