basara
□藤色みっつ
1ページ/1ページ
よくやった。藤色の仮面の男にそう言われ、輝く目が4つあった。
それらの目を持つ者等もまた、藤色の装飾を身に纏っていた。
藤色みっつ
『今日も半兵衛に褒めて貰っちゃった』
「誰が貴様など賛美するものか。部外者が、身の程を弁えろ」
『別にいいじゃない。軍は違えど今は同盟仲間でしょう』
「所詮は須藤だ、豊臣ではない」
『、…それは…』
「こら、三成君。…大丈夫。ななし、君はよくやってくれているよ」
「すみません、半兵衛様」
半兵衛と呼ばれる人物に言われると、まるで手の平を返した様に大人しくなる三成。
「ななし、それに三成君も。もう少し仲良くしたらどうだい?これから豊臣は日の本を一つにする為、更に勢力を広げる。君達がそんなだと、出来るものも出来なくなってしまうよ」
『でも、』
「ですが、」
言葉が被り、キッと睨み合うななしと三成。
『三成、いつも私を馬鹿にするんだもの』
「部外者である貴様を何故まともに見る必要がある?」
『!!』
「ほらほら、言ったそばから君達は」
まったく、半兵衛は呆れ顔でそう呟くと、ななしと三成をそっと抱き寄せる。
『ちょ、半兵衛、何して』
「な、半兵衛様っ」
騒ぐ2人を、半兵衛は腕の力を強め黙らせる。
暫くして大人しくなったのを確認し、ゆっくりと口を開く。
「いいかい2人共、よく聞くんだよ」
言われた通り2人は黙ったまま、彼の胸の中で耳を傾ける。
「僕は2人共好きだよ。それこそ、秀吉と同じくらいにね」
『「……」』
「でもね、そんな君達が喧嘩するのは辛い。解るかい?」
同時にこくりと頷くななしと三成。
その様を見て微笑み、彼は話を続ける。
「だから、これからは仲良くすること。勿論僕が見ていなくてもね」
腕を緩め2人の顔を覗き込む。
出来るかい、そう問えば、まるで打ち合わせしていたかの様に再び同時に頷いた。
「いい子だね。三成君、ななし、豊臣を頼んだよ」
そう言った彼は、愛おしそうな目をして再び微笑んだ。
その奥に儚さが隠れていることに、ななしと三成は気付かぬ振りをするしかなかった。