basara

□藤色みっつ
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よくやった。藤色の仮面の男にそう言われ、輝く目が4つあった。

それらの目を持つ者等もまた、藤色の装飾を身に纏っていた。


藤色みっつ



『今日も半兵衛に褒めて貰っちゃった』
「誰が貴様など賛美するものか。部外者が、身の程を弁えろ」
『別にいいじゃない。軍は違えど今は同盟仲間でしょう』
「所詮は須藤だ、豊臣ではない」
『、…それは…』
「こら、三成君。…大丈夫。ななし、君はよくやってくれているよ」
「すみません、半兵衛様」


半兵衛と呼ばれる人物に言われると、まるで手の平を返した様に大人しくなる三成。

「ななし、それに三成君も。もう少し仲良くしたらどうだい?これから豊臣は日の本を一つにする為、更に勢力を広げる。君達がそんなだと、出来るものも出来なくなってしまうよ」
『でも、』
「ですが、」

言葉が被り、キッと睨み合うななしと三成。

『三成、いつも私を馬鹿にするんだもの』
「部外者である貴様を何故まともに見る必要がある?」
『!!』
「ほらほら、言ったそばから君達は」


まったく、半兵衛は呆れ顔でそう呟くと、ななしと三成をそっと抱き寄せる。


『ちょ、半兵衛、何して』
「な、半兵衛様っ」


騒ぐ2人を、半兵衛は腕の力を強め黙らせる。
暫くして大人しくなったのを確認し、ゆっくりと口を開く。

「いいかい2人共、よく聞くんだよ」

言われた通り2人は黙ったまま、彼の胸の中で耳を傾ける。


「僕は2人共好きだよ。それこそ、秀吉と同じくらいにね」
『「……」』
「でもね、そんな君達が喧嘩するのは辛い。解るかい?」

同時にこくりと頷くななしと三成。
その様を見て微笑み、彼は話を続ける。

「だから、これからは仲良くすること。勿論僕が見ていなくてもね」

腕を緩め2人の顔を覗き込む。
出来るかい、そう問えば、まるで打ち合わせしていたかの様に再び同時に頷いた。


「いい子だね。三成君、ななし、豊臣を頼んだよ」



そう言った彼は、愛おしそうな目をして再び微笑んだ。




その奥に儚さが隠れていることに、ななしと三成は気付かぬ振りをするしかなかった。




 

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