貰捧・記念小説

□could you tell me
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-怜悧な花-様のジュン様より
相互記念で貰いました







穏やかな秋の昼下がり。
僕はゆっくりコーヒーを飲みながら、応接室で書類のチェックをしていた。

なのに。


「電話番号教えてください!」


ばんっと両手を机に広げ、こちら側に身を乗り出すようにして骸がそう言った。

……その前に、なんでお前はここにいるんだ。





『Could you tell me?』





「…………は?」

「だから!こんなに一緒にいるのに、電話番号も知らないなんておかしいでしょう?」

はぁ、と骸が大袈裟にため息をついた。ため息をつきたいのはこっちのほうだっての。


だいたい、一緒にいるってお前が勝手に付きまとってるだけじゃないか。


そう思ったけど今はとりあえず、無視することに決めた。

…が、今度はあの男が口を出してきた。

「ふっ……まだまだだな、骸」

あの男―…ディーノがソファに足を組んで座り、余裕の笑みを浮かべた。

「跳ね馬……」

骸が振り返りディーノを睨みつける。ふ、と彼はそれを鼻で笑い、そして自慢げに言った。


「俺は恭弥の電話番号もアドレスも知ってるぜ!!」

「なんですって!?」


驚く骸に、ふふん、とディーノが胸を反らせる。かなりムカつく顔だ。
そんなの信じません!と骸がぐるんっと僕に向き直った。

「嘘ですよね恭弥君!」

そういえば、彼には修行をしていたときに教えたっけ。

僕がそう答えると、そんなぁと骸が情けない声を出した。

「ざまーみろ!…恭弥は俺には教えてくれたんだぜっな、恭弥!」

そんな骸とは逆に、ディーノはさらに得意そうに笑顔になった。

だけど僕は、ふとあることを思い出して満面の笑みのディーノに告げた。


「僕、先週携帯の機種変えたんだよね」


ぴき、とディーノの笑顔が固まる。それに追い討ちをかけるみたいに、言った。

「だから、ついでに電話番号もアドレスも変えたんだ」

「なっ…聞いてねぇぞそんなの!」

「言ってないもん」

一気にディーノの顔から笑顔が消えた。途端、骸がクハハ!と気持ちの悪い笑い声をあげた。

「ざまぁないですね跳ね馬!機種変更したのも知らないなんて可哀相に!」

「くっそー…どうり電話したら知らない女が出たんだな…」

「それって"この番号は現在使われて〜"ってやつだろ?気づきなよ」

普通気づくだろ。
ディーノはさっきのでかい態度はどこへやら、今にも泣き出しそうな顔だ。

「恭弥…ひでぇよ」
「だって、面倒臭いし」

新しい番号を教えたのは草壁だけだ。それ以外は誰も知らないし、教えるつもりもない。

「諦めて帰ったら?」

「ずるいですよ草壁ばっかり!」
「そうだぞ!俺達にも教えろよっ」

ずいっと今度は二人が僕に詰め寄ってくる。

…しまった、うざいのが増えた。

最上級にめんどくさくて、はぁ、と大きなため息をついた。

「なぁ恭弥!」
「電話番号教えてください!ついでにこの婚姻届にサイ…」
「ざけんな骸!」

だんだん騒がしくなってきた。
本当にめんどくさい。骸はとてつもなく不快なことを言ってるし。


仕方ない、か。


「…わかったよ」

「え!サインしてくれるんですか」
「恭弥!本当にこんなやつでいいのかよっ」


……………そっちじゃないから。


「痛っ!」
「痛ってー!」

ふざけたことを言う二人の頭をおもいっきりはたいた。

「そう、いらないんだね」

「うそうそ!教えてくださいっ」
「ありがとうございます恭弥君!」

見るからに嬉しそうに笑って携帯を差し出す二人に、仕方なくアドレスと番号を教えた。

「ひとつだけ約束ね」

「なんですか!」
「なんでも聴くぜっ」

浮かれてまるで女子高生のようにはしゃぐ二人に注意した。
こいつらのことだから、毎日のように電話やらメールやらをしてくるに違いない。

最低限、約束を守らせないと。



「メールも電話も、送ってきたら即咬み殺すから」



「「……………え」」


綺麗に二人の声が重なった。
そして、叫びだすのも見事同じタイミングだった。

「いやいやいやいや!おかしーだろ!?」
「それじゃあ聞いたイミないじゃないですか!」

「教えただけでも感謝しなよ」


第一、教えるとは言ったけどしてきていいと言った覚えはない。


「う……」
「そんなぁ!」

ディーノと骸は、眉をハの字に曲げて美形が台なしの情けない顔をつくった。

どうやら本当に悲しいらしい。

…ちょっとやりすぎたかな。

なんだかあいつらが可哀相に見えてきて、言った。


「それから、僕から電話したときには5秒以内に出てよね」


ぴた、と二人の動きが止まる。
マズイこと言ったかな、なんて心配は無用だった。


すぐに、壊れるみたいに、二人は笑顔になった。


「やった!サンキュー恭弥っ」
「待ってますからね!」

「……………」

ゲンキンな奴らだ。そう思った。
だけど、あまりにも嬉しそうな顔をするから。
たまには電話してやってもいいかな、なんて思ってしまった。



まあもちろん、そのあと僕から連絡したことはなかったのだけど。











お礼


相互ありがとうございます、ジュン様(*^▽^)

こんなに素敵な小説をこんな駄サイトに飾っていいのか不安なほどです(*ToT)

やっぱりディノヒバムクっていいです(*´∀`)

本当にありがとうございました!!



最後までお読みいただきありがとうございました!






20091023
 

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