貰捧・記念小説

□力の差は歴然ですよね
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怜悧な花様より
フリリクで貰いました








「ツナ、ファイト!」
「君にかかってますよ沢田綱吉」

「十代目…」
「はは、おもしれー」


どいつもこいつもふざけんな。
そう言いたいのを我慢して、俺はそっとドアの向こうを覗いた。
哀れな被害者が、そしてたぶん次の瞬間には加害者になるであろう人物が、中で優雅にコーヒーを啜っていた。

ああ、やはり、馬鹿な提案が出たあの瞬間に却下しておけばよかった。





『力の差は歴然ですよね』





「もしさ、ヒバリが死ぬ気弾ってのを撃たれたら、あいつもパンツ一丁になんのか?」


山本が呟いたその一言。
それをきっかけに、雲雀さんを見つめ隊(別名ストーカーし隊)のあの二人が一体どこで嗅ぎ付けてきたのか集まってきて。あれよあれよといううちに出来上がってしまったこの計画は、馬鹿らしいにもほどがなかった。


題して『雲雀に死ぬ気弾撃っちゃってあわよくばパンツ拝んじゃおうぜ計画』。
センスも何もない。というか下品。


死ぬ気弾はパンツを拝むためにあるんじゃない!なんてツッコミは、この変態達には通じない。
気づけば応接室のドアの前にいて、しかも何故か死ぬ気弾を食らわせる役が俺になっていた。つまり一番危険な役割を押し付けられたわけ。俺は雲雀さんのパンツなんか見たくないのに。…いや、まあ見たいといえば見てみたいけど、それは変なイミじゃなくてさ、…。


ま、まあそれは置いといて!


だけど俺は銃なんか使えない。
そこで骸から提案されたのがこれだ。

…死ぬ気丸を飲ませる。

骸は完璧だと言ったが、こんな怪しいものをあの雲雀さんが飲んでくれるとは思えない。
仮に飲んでくれたとしても、死ぬ気になった彼とすぐ傍で対面することになる。ただでさえ強いあの人が死ぬ気になった姿なんて、考えただけで腰がぬけそうだ。


あっそうだ、そうだよ!肝心なところを忘れてた!!


「バレたら俺、絶対生きて帰れないじゃん!!」

「しー、声がでかいですよ!バレたらどうするんですか」


「そんなこと言ってる場合か!俺の命がかかってんだぞ?」


頭を抱えて叫ぶ俺を、骸が制した。余裕なその顔がかなりムカつく。
そりゃ余裕でいられるよ、お前は見てるだけなんだからな!

若干キレてそう叫ぶ俺に、ディーノさんがたしかにそうだ、と頷いてくれた。


「ツナの言うことももっともかもしれねぇ」
「でしょ?だからこんな計画はやめて」

「だったらこういうのはどうだ?おい、リボーン」


くるり、とディーノさんが振り返って名前を呼んだ。が、彼の視線の先の廊下には誰もいない。
え、リボーン?どこに?
とその場がシラけかけたそのときだ。


「ちゃおっす」
「ぶっ!」


ひゅ、と風を切る音がして、ディーノさんがしゃがみこむ。
ディーノさんが振り向いた方とは反対側の廊下から華麗な飛び膝蹴りを彼にかました小さな人物は、偉そうにくい、と帽子をあげた。


「リボーン!」
「俺を呼び付けるとは偉くなったもんだな変態共が」

「いてて…変態じゃねぇよ」


蹴られた左頬を押さえながら、ディーノさんがそれだけ否定した。
冷静に「事実じゃねぇか」と突っ込んだリボーンに、ごもっともだと俺も小さく呟いた。


「リボーン、お前に頼みが」

「雲雀に死ぬ気弾を撃ってほしいんだろ?」

「…わかってるなら話は早い。お前なら恭弥だって怒りはしないだろうからな」

「やってもいいが、条件があるぞ」


条件?とディーノさんが聞き返す。そうしたら何故かリボーンは俺の方を向いてにやりと笑った。


「ツナが次のテストで一番になることだ。お前らがカテキョーしてな」


「え、…は!?」


ちょっと待て、なんだそれは!
驚く俺とは対照的に、ディーノさんの表情がぱあっと明るくなった。


「それだけでいいのか!?」
「ああ。しっかり教えてやってくれ」

「ち、ちょっと待って!なんで俺が」


慌てて異議を唱えようとする俺の肩を、ぽん、と骸が叩いた。


「いいじゃないですか。勉強を教えてもらえるうえに恭弥君のパンツが見れるんですよ?」

「な、…別に俺は」

「往生際が悪いぜーツナ」


俺が悪者とでも言うように、みんなが俺を見つめる。
なんで、俺関係ねぇじゃん!
そう言おうものなら雲雀さんに殺られる前に殺られそうだ。


「…決まったな」


にっと面白そうに笑うリボーンを涙目で睨む。そんな俺には気付かないフリをして、リボーンが銃に弾を込めた。


「いよいよだなっ」
「ドキドキするぜ…」
「外さないでくださいよアルコバレーノ」

「俺を誰だと思ってやがる」


ふ、と笑って、リボーンがドアの隙間から標的に狙いを定めた。
しん、と騒がしかった骸達が静かになる。

あれ、なんか俺もドキドキしてきた。なんでだよ、雲雀さんのパンツなんか見たくないはずだろ!うんきっと、この胸の高鳴りはバレたときのことを考えてるからだ。そうだ、きっとそうだ。

パン、と渇いた音が響く。

はっとリボーンを見ると、緩やかに煙をあげる銃口に満足げに息を吹き掛けていた。


うわ、ついにやってしまったんだ!


我先にと山本達がドアを覗く。少し腰がひけているのはたぶんビビっているからだ。それなら最初からするなと一人突っ込んで、俺もドアの隙間から部屋を覗いた。


「……なんも起きねぇな」


ぽつり、ディーノさんがそう呟いた。

死ぬ気弾を喰らったはずの雲雀さんは、特になんの変化も起こさず倒れ込んでいる。

もうそろそろ額に炎が灯って服が破けてもいい頃なのに。



…………まさか。



「お前、実弾撃ったんじゃ」


俺の言葉に、びくっとみんながリボーンを見た。リボーンはそんなわけねぇだろと言いながらも少し慌てた様子で銃を確かめていた。

嘘だ、まさか。
こんな阿呆なことが原因で、雲雀さんが、あの雲雀さんが……!


「あ」


小さくリボーンが声を漏らした。
その声に嫌な予感がして、リボーンを見つめる。


「なんだよ、まさか本当に…?」

「悪い」

「謝って済むかよ!そんな、雲雀さんが死…」



「僕がなんだって?」



低い声とドアの開く音に、ゆっくり顔をあげる。

雲雀さんが、額に紫の炎を燈して、静かにそこに立っていた。

なんだ、ちゃんと死ぬ気弾だったんだ。リボーンのやつ、心配かけやがって。

よかった、そう息を吐いた瞬間、違和感を感じた。


あれ、死ぬ気弾を喰らったら、パンツ一丁になるんじゃなかったか?



「悪いお前ら。間違えて小言弾のほう撃っちまった」



…………え?

聞き返す前に、ひらりとリボーンはどこかに消えてしまった。

固まる俺達と、雲雀さん。


「な、なあツナ、小言弾って」


…小言弾ってことはあれです。


小言がリアルタイムに聞こえて。


「ヒバリに小言を言うやつなんていんのか?」


服が破けなくて。


「僕達はそのためにやってたんではないんですか!?」


死ぬ気より最強になる。


「まじで……!?」


俺の説明に、みんながぶるっと震えた。

俺だって泣きたい。


「どうも騒がしいと思ったら、やっぱり何か企んでたんだね」

「き、恭弥…落ち着」

「ねぇ君達、僕が今言いたい言葉、わかる?」


はい、もちろんわかりますとも。


「咬み殺す」


予想通りの言葉と振り上げられたトンファーに、人生の終わりを感じて瞳を閉じた。

ああ、こんなことなら、死ぬ気で…。


……って、なれるじゃん。
雲雀さんに飲ませるはずだった、手の平の青い玉を見つめる。

ためらわず、それを飲み込んだ。


「……復・活!!」

「つ、ツナぁ」
「ボンゴレ、まさか彼を」


倒してくれるんですか!?

期待したように骸達が俺を見つめる。

雲雀さんを倒す?ああそっか、そういう方法もあるんだね。


でも、俺は。


「死ぬ気で雲雀から逃げるー!!!」

「「に、逃げやがったー!?」」


息の合ったツッコミが、背後から聞こえる。キングオブツッコミの俺から見ても素晴らしいツッコミだ。

それからバキッと恐ろしい音がして、ホラー映画のような叫び声が廊下に響いた。ご愁傷様みんな、ごめんね。

でもさ、誰が好き好んで超死ぬ気の雲雀さんを倒そうと思うかよ。だって超だよ超。たぶんもう人間の域を越えてると思う。キングコング以上だって。


「誰がキングコング?」


やだなあ、雲雀さんのことだってば。ま、それよりもっと野蛮で狂暴だと思うけど。


「へぇ…僕のこと、そんな風に思ってるわけ」

「はいそうです………って!?」


ぎぎぎ、と振り返れば、紫の炎を灯した彼がトンファーをかまえて立っていた。


なんで、俺、死ぬ気なのに!

やっぱり超には敵わないのか!?それとももともとの力が劣ってるからか!?


「何言ってるの。両方でしょ」

「で、デスヨネー」


しゅうぅ、と自分の額の炎が消えたのがわかる。嘘だろ、こんなところで死ぬ気モードが終わるなんて!


「じゃ、きっちり死んどいて」


ひ弱な一生徒(パンツ一丁)vs最狂の不良(超死ぬ気)。

どちらが勝つかなんて、火をみるより明らかだった。








後日、並盛病院のベッドを囲んで付きっ切りの勉強会が行われていた。


「ツナ、いい国(1192年)作ろうは鎌倉幕府だ。江戸はまだ早すぎる」
「こんな問題もわからないんですか?底無しの馬鹿ですね」

「ざけんな骸!十代目はわざと間違えて俺達に教えてくださってんだ」
「獄寺君、逆に腹立つからやめて」

「なあ、次は嘆き弾なんてどうかと思うんだけど」

「「山本、ナイス!」」

「(ブチッ)…いい加減にしろてめぇ等ー!!」













あとがき→

うああ…なんかもう、いろいろすみませんorz

反省することが多すぎて、あとがきがまとめられません(何
ので、ひとつだけ。

雲雀の出番少なすぎました…
これ総受け?みたいな文章でほんとすみません……


みか様に捧げます!
リクエストありがとうございました。












あとがき



ジュン様、5000hitおめでとうございます(*^▽^)
フリリク企画、参加させていただきました♪

いつもジュン様の書く小説を楽しく読ませてもらってます!

今回もこんな小説をいただけるなんて…
雲雀総受けは最高ですね(^^)


次も何か企画をするなら必ず参加させていただきます!


本当にありがとうございます!
そしておめでとうございました!




最後までお読みいただきありがとうございました!






20100401

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