■夢の園 連載物

□愛=mc2 第四話
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第四話

久しぶりの天気、たくさんの洗濯物を干していた
それでも少しだけ気になる事がある
今朝、弦ちゃんの顔色が少し悪い気がした
風邪かとも思ったけれど、大丈夫だと言って学校へ行ってしまった
お爺さんも、弦ちゃんが自分で行くと言ったので無理はするなと言っていたけど


「弦ちゃん、大丈夫かしら……昨日寒かったし、稽古終わるの遅かったから、汗で冷えちゃったのかも」


干し終えた私は早めに買い物に行き、掃除は後回しにした
いつもより効率が悪いと思いつつ、庭を掃除していれば電話が鳴った
もしかして、そう思い出れば、案の定、弦ちゃんの担任の先生からの電話
熱が有ると言う事で迎えに来てほしいと言われた
すぐに迎えに行くと告げ、私は急ぎ弦ちゃんの学校へ向った
つい先日、学校に来たと言う事もあり、先生も私を見てすぐに保健室へと連れて行ってくれた
保健室……そんなに悪いのだろうか
先生と一緒に保健室へ入れば弦ちゃんが座っていた
てっきり保健室と言う言葉で寝ているものだと思っていただけに少し驚いた


「弦ちゃん…起きてて大丈夫なの?」
「ごめん、桜…」
「いいのよ、一緒に帰ろう」
「うん」


先生は明日は無理をしないように、そう言ってくれた
先生方へ挨拶をして、私は弦ちゃんと一緒に帰った
帰り道、何か食べたいものは無いか聞いてみたけど、今は何も無いと言う
顔色は朝より悪い気がする


「弦ちゃん、とにかく帰って寝よう」
「うん…あのな、夕方…」
「ダメよ」
「俺、まだ何も言ってない」
「稽古したいって言うんでしょう?ダメ、今日は休みなさい」
「でも……」
「なんと言おうとダメ、今日はお休み!いい?」
「……わかった」
「稽古がしたいのは解かるけど、だったらなおさら早く治そう」
「うん……」


こんな時でも稽古がしたいだなんて、弦一郎も同じだけど、もう……しょうがない子ね
家に帰り、もう一度熱を測れば、表示された数字に驚く


「えっ……38度5分……こんなに」
「平気だよ、そんなに辛くないから」
「何言ってるの、お医者さん行かなきゃ……でも、こんな状態じゃ行けない、来てもらうわね」
「い、いいよ…」
「ダメよ……まずお爺さんに連絡しなきゃ……あら?今日って…道場の稽古休みよね」
「爺様なら今日は将棋指しに行ってる……もう時期帰ってくるはずだ」
「……そう、とりあえず熱下げなきゃ、待っててね」


元気の無い弦ちゃん、こんなにも高い熱だなんて
氷枕何処かしら?………!……冷凍庫にアイスノンあったわよね?
急いで台所に向かい冷凍庫を開ければあった


「これで冷やそう…後は、何か水分取らなきゃ…」


水分を取ってゆっくり寝ている事、他に何かあったかしら?
食欲あるのなら何か作ろう、とりあえず私は弦ちゃんの熱を冷やすべく部屋に戻った


「弦ちゃん、これで冷やそう?……はい、どう?」
「気持ち良い……」
「やっぱり、熱が高いのね、何かほしい物ある?食べたい物とかあったら言ってね」
「今は無い……」
「そう、後でお粥でも作るわね」
「いいよ…いらないから」
「少しでもいいから食べなきゃ、とりあえず寝なさい」


力なく頷いて弦ちゃんは瞼を閉じた


「少し寝ててね?買い物に行ってくるわ」
「うん…」


こんな弦ちゃんを置いていくのは気が引ける でも、今のままここにいても…
必要な物を用意しなければ
台所に戻り冷蔵庫を確める、消化の良い物を後で作ってあげなきゃ
今は無理でも、少しでも食べれる物を用意しておけば……
そんな事を考えていれば、おじいさんが帰ってきた
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