名残もの

□間接的繋がり
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ブロリーは廊下をゆったりとした歩みで進んでいた。

先生に頼まれ手伝いをしていたらいつの間にやらこんな時間。遅くなってしまったものだ。
とはいえ家に帰っても誰もいないブロリーは門限だとか、遅くなって誰かに叱られるとか。そんなことはないためか、夕方だからと別段急いだりすることはなかった。

歩いていると、途中で鐘の音が響いた。それで無意識に時間を把握し、そこの角を曲がる。そうしたら教室はもう目の前だ。

…と、今度はどこからか何かを落とす音が聞こえた。
それに関心はなく、ブロリーは教室に入ろうとした。
が、すぐに足を止める。
…誰かいる、こんな時間に。

夕日に逆光になる影を見つめ、それがカカロットであることを知るとブロリーは口を開いた。

…だが声は出す前に掻き消えた。


代わりに聞こえたのは素っ頓狂な笛の音。


ブロリーはそれがどこから、なにからするものかはすぐに理解した。


(カカロット…?リコーダーの練習か?)


一瞬。リコーダーの苦手なカカロットが遅くまで残り、練習しているのかと思った。
…けれどそうだとしたら何故。何故ブロリーの席にカカロットは座っているのだろう。

……………。


「……っ…!!」


突如として理解する。

同時に、顔が熱くて仕方なくなる。
いてもたっても居られなくなり、ブロリーは駆け出していた。



「……は、…はぁっ………っ…。」


教室から離れた階段の前。
膝に手をつき、息を整えていた。


「……カカロット…。俺の…リコーダー……どうして……。」


自分のリコーダーを吹いていた。
何故カカロットがあんなことを……。

つ……。
唇に触れる。

間接的……。
ましてブロリーは見ていただけなのに。

カカロットとキスしたかのような…そんな気持ちになってしまう。


「…違う。」


ブロリーは呟いた。

そうだ、きっと違う。
カカロットは本当にリコーダーの練習をしようとしていたのかもしれない。ところがリコーダーが…例えば、家に持ち帰っていたとかそんな理由で…教室なかった。
それで、幼なじみであることだし……ブロリーのをちょっと借りるだけのつもりで使っていた。
……とか、きっとそんな何気ない気持ちで、なんとも思わずに吹いていたのだろう。カカロットがやましい気持ちでおかしなことをするとは思えない。

……それはそれで残念なような気がするのだが。


ブロリーは深く息を吸い、教室に戻った。
カカロットももう帰っているだろうし…。


しかしそう思いながら、上気して赤く染まった頬からはなかなか熱が引かなかった。












ブロリー視点のは確かブログでは未公開でしたので、こちらで初めてお披露目。


2010/12/18 18:44

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