ちょこっと文

□神田誕生日
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「神田、今日は何の日でしょうかー?」

「はァ?」

今日は何の日かだぁ?
すでに夕方を過ぎ、暗くなってるのに何を言い出すんだこのボケた頭は。

「知らねえよ。」

「自分の誕生日くらい覚えてられないんですか?」

誕生日…。
そんな事すっかり忘れていた。
誕生日なんて、俺にとってはどうでも良い。
つか突然部屋に入ってきたと思えばなんなんだこいつは。

「そんなに睨まないで下さいよ。ほら、神田、手出して下さい。」
「…あ?何でだよ。」
「良いから!」

躊躇いながらも差し出すと、手のひらサイズの小さな箱を渡された。

「なんだこれは。」
「何って、プレゼントですよ。あけてみて下さい。」

いらねぇと突っ返してやろうと思った。
だが、あまりにもアレンか楽しそうに笑みを浮かべるもので、ため息をつきながらもその小さな箱を開けた。
中には何か、紙が数枚…。
神田はその紙を取り出して驚愕した。

「僕、いつも神田に気持ちよくしてもらってるんで、たまには神田を気持ちよくしてあげたいなぁって思ったんです!」

その紙は何枚もあり、一枚一枚に何かが書いてある。

「…キス券」
「どんなキスでも、どこにでも、してあげますよ!」

「……風呂でマッサージ券」
「あんまりエッチな命令はやめて下さいね。」

「………抱いてあげます券……。これはなんだ…」
「ふふふ、たまには僕が抱いてあげますよ。いつも神田に気持ちよくしてもらってばかりですから!」
「…………。」
「あれ?どうしたんですか?こう見えて僕、タチもいけるんですよ。」

神田は手の中にある紙をグシャッ!!と握りつぶすとポケットに突っ込み、アレンを壁に押しつけた。
勢いよく壁にぶつかったため、アレンからは小さな呻きが漏れた。

「タチもいける、だぁ?それは一体、誰をイかしてやったんだ、あぁ?」
「や…だなぁ、神田、ヤキモチですか?らしくないですよ?」

ぶつかる視線をそらしながら神田と壁の間をすり抜ける。
リボン帯に手を掛けながらベッドに腰をかけ、一枚の紙をポケットから取り出し神田に渡した。
そこには一言
『僕をめちゃくちゃにデキる券』
と書いてあった。

「さっきの紙は次回使って下さい。今日はこっちを使って下さい。」
「…なるほど。本当のプレゼントはこっちってわけか。」

そう言うと意地悪そうに笑いながらアレンの顎を引きながら自分のシャツの襟に手を掛けてから、アレンが解いたリボン帯を再び結んだ。

「神田?なにして…」
「今日はお前がプレゼントなんだろ。プレゼントのリボンは俺が解くのが当たり前だ。お前が自分で解いてどうする。」

一瞬キョトンとした表情を見せたアレンだが、意外な事を言う神田がおかしくなり笑いがこみ上げてきた。

「ふふ、すみません。じゃあ…結べましたから、神田、お誕生日おめでとうございます。僕からのプレゼント、受け取って下さい。」


HAPPY BIRTHDAY神田

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