《裏》妄想文
□【アレ神】嫉妬
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酷い土砂降りの中、二つの黒い影が建物に駆け込んだ。
「凄い雨ですね。びしょびしょですよ。」
「チッ、服がひっついて気持ち悪ぃな。」
電気もない真っ暗な闇の中でも、目が慣れてくれば多少は周りが見えてくる。
「…神田、ここ教会みたいです…。」
「あぁ?だからなんだってんだ!」
黒髪の青年は雨に濡れた服が気持ち悪いらしく酷く苛立っているようだ。
そんな事など関係ないと言うかのように白い髪の少年は辺りを見回している。
強い風に吹かれ窓ガラスはガタガタと音を立てている様子から、相当古い教会だという事がわかった。
「ハ…ックション!〜っ、寒いですね。風邪引きそうです…って、神田!何してるんですか!?」
「馬鹿かテメェは。んな濡れた服着てたら風邪引くに決まってんだろ。脱げ。」
確かに寝れたままの服を着ていたら風邪を引くだろう。
しかし…
「…僕、着替えなんて持ってませんよ。」
「…テメェはカバンの中を見た事がねぇのか…。」
「え?」
鍵を開けをゴソゴソと漁ってみると中から下着と薄い毛布が出てきた。
「へぇー!こんなのが入ってたんですね!」
「チッ、初任務じゃあるめぇし今まで何を見てたんだ。」
「今まではファインダーさんが用意してくれていたもので…。」
黒い髪の青年はひときわ大きな舌打ちをし、横になった。
雨は強さを増すばかり。
強く打ち付ける雨がガラスに描かれたマリアを哀しげに濡らしていく。
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