1st(創作)
□一緒
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そっと、ご主人様の体から自分の身を離す。
「私はご主人様を本当に食べてしまいたいと思うほど愛しています」
そうなんです、ご主人様。
骨にしゃぶりついてしまいたいくらいに。
「そんな冗談…痛っ!!!」
ご主人様の腕に出来た歯形を指でなぞりながら私は微笑んだ。
「ね、分かったでしょう??冗談なんかじゃないんです」
ガタガタと震えるご主人様を今度は逆に私が抱きしめる。
「でも安心してください。ご主人様が他の女と…今日みたいにずっと一緒にいない限り、私はご主人様に害は加えません」
「わ…分かったよ」
「でも、もししたら…分かってますよね??」
ご主人様の腕からじわりと血のにじみ出た歯の傷跡を、ペロリと舐める。
「ご主人様の血…美味しいですね」
「………っ」
「ご主人様??」
ご主人様の体がするりと私の腕からぬけたかと思うと、ご主人様はそのまま床に倒れこんでしまった。
「大丈夫ですか??ご主人様…」
目をうっすらと開くご主人様に問いかける。
「大丈夫だよ…。びっくりしちゃった。お前があんな事言うから…」
「…スミマセン。私もよく分からなくて…。女に嫉妬しちゃったのかな…」
ポロポロと涙を溢す私の頭をご主人様はそっと抱き寄せる。
「俺こそごめんな。でももう怖いからあんなことするなよ」
私は頷いた。
ただ、ご主人様が私以外の女と一緒にいなければ、の話ですけどね…。
《完》