2nd(二次創作)

□終わらない夢
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「うぅっ…」

隣の寝室から聞こえる芭蕉さんの泣き声。
またきっとあのぬいぐるみを抱きながら、涙を拭いているんだろう。


「全く良い年して…」


誰もいない茶室で、僕は一人溜め息をついた。


「曾良くんめ…」


ぶつぶつと聞こえる小言をお茶を啜る音でかきけす。


ガラッ


突然襖が開く音と共に芭蕉さんが姿を現した。
けれども、僕は平然とした態度でお茶を啜り続ける。


「曾良くん」


「なんでしょう」


「明日モテ男勝負をしよう」


どうせ結果は見えているんだからと僕は鼻で笑った。


「じゃあもし僕が勝ったら、その変なのくださいね」

「変なのとは何だ!!マーフィーくんは絶対渡さないからな!!」


「どうしてですか??」


僕はお茶を啜る手を止め、芭蕉さんの方に向き直った。


「マーフィーくんとは曾良くんに怒られた時に一緒に寝ているからな」


芭蕉さんは自慢気にマーフィーくんとやらを高々と掲げた。

あぁ僕は何てちっぽけ何だろう。

ぬいぐるみごときにジェラシーを感じる…


「やめろっ!!返しなさい!!」


気が付けば僕は、芭蕉さんの手からマーフィーくんを奪っていた。


必死にそれを取ろうとする芭蕉さんの腕を掴み、身動きのとれないようにした。


「そっ…曾良くん」


戸惑いを見せる芭蕉さんの唇に優しく…いや、強引にキスをする。


「やっ…やめろ!!」


「なんでこんな物を抱くんですか」


芭蕉さんは目に涙を浮かべながら、それは友達だからだと震える声で言った。


「そんな物抱くのはもうやめてください。代わりに僕が芭蕉さんの相手をしますから」


―今夜は終わらない夢を、見るだろう。

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