★SHORT★
□桜
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「……ちゃん!銀ちゃん!」
俺を呼ぶ聞き慣れた可愛いらしい声がする…
ゆっくり目を開けると、あの時から変わらない、澄んだ青い瞳が俺を見つめていた。
…………。
どうやらいつの間にか寝ちまってたみてぇだ……。
ずいぶん昔の夢を見ちまった…
「銀ちゃん、そろそろ帰るアルよ。
銀楽も遊び疲れちゃったみたいアルから。」
神楽の背中には小さな桃色の髪の少年が指を加えて幸せそうに眠っている。
「おー…悪りィ…いつの間にか寝ちまってった。
そんじゃ、そろそろ帰るとすっか。」
神楽の背中から俺と同じ癖のある少年を受け取っておぶった。
「今年も綺麗アルなァ…。」
あの日から毎年見に来る桜並木を歩きながら神楽は嬉しそうに呟いた。
「そーだな…
毎年変わらず綺麗なもんだ。」
確かに桜も綺麗だが、神楽も年をとる度に美しさを増している。
神楽を見たさに万事屋に依頼に来る奴らも少なくない。
まあ俺が会わせねぇけど。
「ねえ銀ちゃん…私あの日の事忘れてないアルよ。」
俺の方に振り向いて細い薬指に光るあの日の小さな箱の中身を大事そうにさすった。
「おぅ。俺もあの日のお前の顔は忘れねぇよ。」
「ふふ・・それはお互い様アル。」
そう言ってニコリと笑った。
俺はこれからもずっと…この笑顔を守っていきたい。
この気持ちに偽りはねぇ。
あの日からも俺達はケンカも何度もしたし、良い事も悪い事も二人だから乗り越えてこれた。
何があってもコイツのこの笑顔を見るだけでなんでも出来ると思えちまうんだから不思議だよな。
「銀ちゃん…
また来年も4人で見に来ようね。」
「え?
4人?どーゆう…」
俺の言葉は神楽唇で遮られちまった…。
「神楽ちゃんずるい…。」
「女はみんなずるいもんアルよ?」
「・・・ちげぇねぇ…。」
神楽はニシシと笑って愛しそうにお腹をさすった。
「………ありがとな…」
「え?
銀ちゃん今なんて?」
「いや…なんでもねぇよ」
そう言って右手で神楽の手をそっと握った。
神楽は優しく微笑んで俺を見つめた。
…俺の胸の中はお前への感謝でいっぱいいっぱいだよ……
だから…
これからもずっと…
お前達を守っていく……
桜が俺達4人に優しく包んでくれている気がした…
Fin
あとがき
ちょこの初小説でございます。
歌はFUNKY MONKEY BABYSさんの桜をお借りしました。
歌のイメージに沿えてなかったらごめんなさい…。
お話はもっと短くまとめるつもりが書いてるうちにグダグダ長くなってしまいました…。
もっと勉強したいと思います…
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
5/17、一部修正いたしました!スイマセン!