運命

□三年後・・・
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「姉御ォ!!久しぶりアル!」

「?!
神楽ちゃん?!」




姉上は神楽ちゃんを見たとたん、走ってきてきつく抱きしめた。


「姉御・・・苦しい・・・」

「あら・・ごめんなさい!
つい力が入ってしまって・・・」

そういってゆっくりと神楽ちゃんをはなしてあげた。


「もう!全然手紙もこないし、ずっと心配していたのよ!」

「それはごめんアル。えいりあんはんたーの仕事が忙しくて・・・」

「そうだったの・・。
でも神楽ちゃんが元気だったなら、それで十分よ。神楽ちゃん綺麗になったわね。」

そう言ってうれし涙を浮かべて姉上は微笑んだ。

「えへへ・・ありがとうアル!
姉御もいっそう美しさに磨きがかかってるアルよ!」


神楽ちゃんも嬉しそうだ。


「ふふふ・・・ありがとう。
さあ!じゃあせっかく神楽ちゃんが来てくれたんだし、ご飯にしましょうか。」

「キャッホー!!」

「私も腕をふるって卵焼きを作るから楽しみにしていてね。」

「新八ィ・・・やっぱり私あんまりお腹すいてないみたいアル・・・」

「神楽ちゃん?それどういう意味かしら?」


久し振りに見るこのやり取りに僕はそっとほほ笑んだ。


「お妙さァァアン!
あなたの料理はこの私が・・・」

「ゴリラは黙ってろや!コルァ!」

姉上の右ストレートが見事近藤さんにクリティカルヒットした。


―――――――――――


「うう・・・お腹痛いアル・・・。」

「ぼ、僕も・・・。」


結局僕たちは姉上の料理を無理やり食べさせられたのだった。
僕らが卵焼きを食べたのを確認すると、姉上はさっさと仕事に出かけてしまった。

「ガッハッハ!いかんなァ。
俺はなにも感じないぞ。」

「本当ですか?!無理しない方がいいですよ。
近藤さん一人で姉上の料理ほとんど食べてたじゃないですか・・・。」

「ははは・・・何、俺は新八君たちとはお妙さんへの愛の深さがちがうのだ!
愛さえあればlove is・・・オエェェ!」

「オイィィィィィ!
だから言ったじゃないですかァ!
ちょっと!厠はあっちですから・・・オエェェェ」

「ちょ・・・お前らゲロ吐きすぎアル!
私まで気持ち悪くなってきたネ!
私厠行ってくるアルからしばらく入ってくんじゃねーゾ!」

「え・・・ちょっと!」

神楽ちゃんは厠飛び込んでいった。


――――――――――

「新八君・・・すまないなあ・・・」

「いえ・・・僕もさっき吐いたからだいぶましになりました。」

さっき吐いた後片付けをして、近藤さんを布団に寝かせてあげた。


「近藤さんにはいろいろお世話になりましたしね。これぐらいさせて下さい。」

「がははっ!何言ってるんだ!
我弟よ!困った時はお互い様じゃないか!」

「いつから弟になったんですか」

じと目で近藤さんを睨みつけて、ふぅと小さい溜息をついた。


神楽ちゃんはまだ厠から帰ってきていない。



「チャイナさんはいい女になったなあ。」

「え?!」



突然近藤さんが神楽ちゃんのことを話し始めたので思わず声をあげてしまった。



「いや、俺の心はもちろんお妙さん一筋だから安心してくれ。」

「なんで僕が安心するんですか。」

「でも・・チャイナさんはいい女になった!
これは間違いねえよ。
きっと、万事屋の野郎が見たら、きっと惚れちまっただろうな・・・」

「・・・・・。」

「・・・すまねえ。余計なこと言っちまったな。」



近藤さんはすまなさそうに視線を僕からそらした。



「近藤さん・・・時空転送装置って知ってますか?」

ふと、神楽ちゃんが言っていたことを思い出したので聞いてみることにした。


「ど、どうしてそのことを・・・?!」


近藤さんは驚きのあまり上半身を起して目を丸くして僕の肩をつかんでいる。
まさかそこまで驚かれると思っていなかったので、こちらがびっくりしてしまった。




「え・・・いや・・・今日神楽ちゃんに聞かれて・・・」


「チャイナさんが?!」

「ええ。でも、それ以外何も言ってくれなくて・・・。」

「・・・・・。」


「近藤さん!何か知ってるんですか?
知ってるなら教えてください!」


近藤さんは僕の肩から手を離して、なにやら考え込んでしまった。


しばらく考え込んだ後、近藤さんは僕の方に向き直った。
いつになく真剣な顔だ。


「新八君・・・君は俺にとって本物の弟みたいなものだ。たとえお妙さんが俺に振り向いてくれなくても・・・な。
だから君には秘密を作りたくない。」

「近藤さん・・・」


「だから・・・落ち着いて聞いてくれ・・・実は・・」

「ふぅ〜・・・すっきりしたアル〜。
なんか今日食べた物全部でた気がするヨ〜。」

「?!」






大事なところで神楽ちゃんが厠から帰って来てしまった。





「?
二人ともどうしたアルか?」


「いや、なんでもないよ。」

「今チャイナさんが綺麗になったっていう話をしていたんだ」

「マジでか?!ありがとうアル!ゴリも昔よりもゴリラっぽくなったアルよ?」

「それ褒めれてないよ。神楽ちゃん。」

「がっはっは。相変わらずだな!チャイナさんは!
まあそろそろ俺は屯所に帰るとするよ。
新八君!悪いが屯所まで少し送ってくれないか?」

「え!あ、はい!」

近藤さんが僕に片目をつぶって合図してくれた。

「あ・・・ゴリひょっとして怖いアルか?」

神楽ちゃんの顔はニタニタしている。

「ち、ちがうもん!お化けなんか怖くなんかないもん!」

「はいはい。わかりましたから!
じゃあ神楽ちゃん、たぶん遅くなると思うから、勝手にお布団引いて寝てていいからね。」

「わかったアル。ゴリ!またな!」

「おう!おやすみ、チャイナさん。」
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