★SHORT★

□桜
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神楽は大きなな目をさらに見開いて、俺の顔を見つめた後、手の平の箱をゆっくりと開けた。





「…銀ちゃん…
もしかしてぷろぽーずってやつアルか?」


俺を真っ直ぐ見つめる綺麗な青い瞳は堪えきれずに涙を零している。


「…まあ…そのつもりなんですけど……。」


俺は頬をかいてそっぽを向いた。
今俺の顔は湯気が出そうな程赤く染まっているだろうから。


それに、神楽の答えを聞くのが少し怖かったから…








「………てやるヨ。」

「?」



かすかに聞こえた声に俺は振り向いた。
神楽は箱を両手で箱を包みこんで俯いていた。





「………ずっと……ずっと……一緒に……此処の桜……見てやるヨ……。」



そしてゆっくりと俯いた顔を上げた。



「……ぷッ……
お前なんつー顔してんだよ。」


俺はついつい笑っちまった。
さっきまで俯いていた少女の顔は泣きすぎて目は赤くなり、鼻からは鼻水を垂らしていたから。


「う、うっさいアル!」

少女の顔はみるみる真っ赤になっていく。

「ぎ、銀ちゃんだってさっきまで顔タコみたいに真っ赤になってたアルよ!
だいたい銀ちゃん…・・」


俺を殴ろうと、拳を握る手をとって、俺は愛しい少女を胸に抱き寄せた・・・






そして言葉の続きを唇で塞いでやった……。






「・・・銀ちゃんずるいアル…。」

「大人はずるいもんなんだよ。」

「私も大人アル…。」

「いーんだよ。銀さんはずるいんだよ。」


そして俺は腕の中の桃色の彼女を強く抱きしめた。







抱き合う2人の上をいつまでも桜が降り注いでいた。







まるで俺達を祝福してくれているみてえに………






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