ユメ

□抜け殻みたゐな君
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「抜け殻みたゐな君」





少年に暴力を振るい続けて、一ヶ月経った。アーサーに目がやばいと言われた。どうやばいか聞けば、”crazy”だそうで。笑ってやった。

「ハイ、コンニチハ」

声をかければ少年は横たわったまま、目だけを俺に向けた。確か、昨日最後に見たのはこの姿。もしかして、昨日からずっと動いていない?

「…ねえ、死ぬの?」
「……」

こくん、と唾を飲み込む小さな音が耳に入った。なんだ、まだ生きる意志はあるのか。

「…くそったれ」

小さな、掠れた声はそう紡いだ。ふはっと思わず笑ってしまったじゃないか。生きる意志どころか、こいつは俺を殺したいという瞳で見ている。いつ首を狙われるかわかったもんじゃないな。コワイコワイ。

「そうでなくちゃ。もっと俺を楽しませてくれよ。抜け殻みたいな君には用が無いからね。もっと、殺気に満ちた瞳で、声で、君で俺に訴えかけてくれ」

少年は握りこぶしを作ってゆっくりと体を起こした。ああ、ここまで強い殺気を受けたら愛しさまで感じてきたよ。どうしてくれる?





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