本棚

□逃亡
1ページ/6ページ

「はぁっぁはっ・・クレイズ、まいた!?」

「いやシゼ、まだ来てるよ!!」

夜も深い山の中、辺りにはあるのは木や石・・聞こえるのは不気味な獣の鳴き声と風の音・・その中を息を切らせながら逃げるように走る2人・・それを追いかける者もまた2人の妖魔の兄弟のレオとアル・・

「逃げられる訳がなかろう・・」

紅い眼の者が上空から二人を捉え、下で追いかける弟に指示をだす

「ここは俺達の庭みたいな所だからな〜、いい加減に諦めろって!!」

青い眼の者は兄の指示をよみ、先回りするように逃げる二人を追い詰めようとする・・

「俺達はただ、この山にある薬草を採りに来ただけなんだ!!お前達に危害は加えていないし・・捕まる理由なんて・・」

シゼが紅い目の者、レオに向かって叫ぶように言う


そう二人は先日、仲間と旅の途中でお世話になった村に恩返しをする為にこの山へ薬草を採りにきたのである。

その村では疫病が流行り、治すには村からそう遠く離れていない山の薬草を使うのが1番なのだが、そこには上級妖魔の一族が住んでいるので、恐ろしくて誰も行けないという訳で2人が代わりにその山へ薬草を採りに来たのだが・・案の定、このような展開になってしまったのである。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ