鋼の錬金術師 小説

□甘えんぼv
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◇◆◇

ガチョンッガチョンッ!
ダダダダダッ!

ガチャッ!


「たいさっ!」

「ノックをしたまえ」

「コンコン?」

「…口で言うな」


ドアから顔を覗かせただけのエドワード。


少し頬が赤くなっているのは、走ってきたからか。

「いいから入って来なさい」

「中尉が顔だけ出して来いって」

「入っちゃダメって言われたんです」

アルフォンスもエドワードの上から顔を覗かせた。

まるでイケないものをこっそり見る子供のような視線にロイはいたたまれなくなった。


「この一枚で全て終わる。大丈夫だから入りなさい」

「「中尉呼んで来る!」来ます!」

「ちょっと待て……」


ロイの発言よりホークアイを優先とするエルリック兄弟に先の一抹の不安を覚えた。

大佐であるロイより

少佐相当官のエドワードより

東方司令部では

中尉であるホークアイが権力を保持している。


影の司令官に相応しい…
と考えたロイの背筋に冷たい物が流れた。


コンコンッ


「入りたまえ」

「失礼致します」

「「失礼しまーす」」

礼儀正しく入室したホークアイの後ろからエルリック兄弟も習って入ってきた。


「鋼の……?」


さっきは顔しか見せなかったから気付かなかったが……

「えへへwいいだろ〜。中尉の手作りだぜ!」

エドワードが軍服を着ている。

だが色が違う。

青を基調とする部分が黒で、

白いラインが赤になっている。

色が違うだけで、シックになる軍服はエドワードが着るとまた雰囲気が変わる。


「よく似合うではないか。カッコイイぞ」

「マジで!?サンキュー大佐!」


素直に喜ぶエドワードにロイも破顔した。


「ほら。回ってみなさい」


元気よくクルクル回りながらロイに服を見せびらかす。


「ワンって言ってみろ」

「わんっ!!」

「に…兄さんι」


珍しく相当機嫌が良いエドワードにアルフォンスも苦笑を滲ませた。





コンコンッ


和やかな空気の中、一際大きくドアをノックする音が響いた。


「ハボック少尉であります!」

「入りたまえ」

「おっ!やっぱり兄弟が帰って来たんだな。お帰り」

「「ただいま」」

入室して直ぐに二人を見つけ声をかけた。

「大将〜可愛い格好してんじゃん」

「なっ!?カッコイイだろっ!!」

「可愛いい」

「カッコイイの!!」

ハボックがエドワードの頭をグリグリ撫でていると、フュリーやブレダ達も入室してきた。


「わぁ〜エドワード君。似合ってますねぇ」

「いっそミニスカートの方がもっと似合うと思うぞ」

「いいなブレタ!よしっ大将!スボンからスカートに錬成しろ!!」

「するかっバカ!!」


騒がしい執務室の中、黙々と書類のチェックをしていた中尉はロイにOKのサインを出した。


「鋼の」

「あんだよっ!!」


みんなにイジられて怒り心頭なエドワードはロイの呼び掛けに振り向いた。





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