鋼の錬金術師 小説
□甘えんぼv
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ロイの手のひらに乗っている白い箱。
「君が来るのを待っていたのだ」
見覚えがある白い箱を目にしたエドワードは、瞬時に顔が真っ赤になった。
「Σなっ…なんだよっ!さっさと見ればいいだろ!!オレ宿に帰るっ!」
「鋼の。待ちなさい」
「あぁーそれ!兄さんってば大佐に送ってたんだ!!村の人達がすっごく欲しがっていたのに〜」
「アルフォンスっ!余計な事言うなっ!!」
慌てふためいているエドワードを物ともせず、アルフォンスはロイに早く開けるように促した。
「プロの技術士でさえ、ビックリしたんですよ!兄さんって凝り性だから」
「もう喋んなっ!!」
弟の体を叩きながら抗議するエドワードは本当に恥ずかしそうで。
「鋼の。開けるぞ」
嬉々として箱を開けるロイに全員の視線が集まる。
白い箱を開けると、
真綿が溢れ出た。
真綿の隙間から漏れる光
薄い桃色の輝き
真綿をそっと寄せ、
中身を慎重に手に取った。
ロイの白い手のひらに置かれた『バラの花』
薄い桃色が光を吸収し、
精巧にカットされた断面から輝きを放つ。
角度によって色の密度が変わり、輝きも変化する。
良くできた『石のバラ』
「やっぱりキレイだなぁ。それ『ピンクダイヤモンド』なんですよ。めったにない宝石なんですって」
「鋼のが………研磨をしたのかい?」
『バラ』に魅入られていたロイがアルフォンスの言葉に我に返った。
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