炎の蜃気楼 小説
□片雲
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一人で生きてきたはずだった。
誰かに頼っては、いけなかった。
甘えも弱音も見せてはいけないと思った。
信じていた人間からは、ことごとく裏切られてきたから・・・・期待するのに臆病になっていた。
だけど、寂しかった・・・。
矛盾だらけのこの世界に向かって叫びたかった。
切なくて、苦しくて、悔しくて、情けなくて・・・。
神様
ひとつだけ
ひとつだけ願うことを許してくれるのなら・・・・
『愛されたいのです』
こんなおろかな自分を抱きしめてくれる、
愛してくれる人が欲しいのです。
― 他は、なにも何もいらないから・・・・・・。