鋼の錬金術師 小説

□甘えんぼv
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可愛らしいピンク色の小さな手のひらサイズの紙袋。

取っ手には赤い大きめのリボンに白い花のコサージュ。

そして、白い花の下にぶら下がっている宛名カード。


『東方司令部執務室室長殿』








†††甘えんぼv†††




「大佐。お茶にしませんか?」

ホークアイの声に、ロイが顔をあげた。

「あぁ。もうそんな時間か」


高さが30pはある書類の山の影になっている置き時計は15時を少しばかり過ぎていた。

大輪のバラ1本が円い時計を包むようにデザインされてあるプラチナで出来た置き時計。

年季が入れば、十分アンティークになるだろう。


「またエドワード君からの贈り物ですか?」

「らしいね」


消印を見れば、つい3日前に出されたことになる。

「エドワード君も後1時間もしないで着くのに」

「今まで一度も手渡しされた事がないな…」

「それは恥ずかしいじゃないんですか?」

微笑みながらロイの前に珈琲を置くホークアイに苦笑した。


エドワードがこんな風に物を送ってくるようになったのは何時からだろう。

電話の一本も寄越さないくせに、定期的に名産品が東方司令部司令室宛てに届く。


それは個人宛だったり、司令室全員宛だったり。

なにより一番多いのは大佐宛の物品とお菓子などの特産品だ。



たまに可愛らしい子供向けのお菓子を見ると、まだまだエドワードが子供だということが分かり、愛おしい半分、痛々しく思えてしまう。


そんなふうに司令室にいる殆どが幼い兄弟の事を気に掛けているなんて、当の本人達は知らない。

「中尉。ピアス新しいのに変えたのだな。よく似合っているぞ」


ホークアイの耳に光るエメラルドグリーンのピアス。

彼女のクールな雰囲気を中和してくれそうなほどに暖かい色をしたエメラルドは本当に良く似合っていた。


「ふふふ。ありがとうございます。エドワード君からなんですよ」

男性からアクセサリーを頂くなんて始めてですと、はにかむホークアイはうっすらと朱がさした。



「…………やるな。鋼の」


今回、ホークアイにはピアスだった。


では、自分宛のこの袋の中には何が入っているのか……?






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