ハガレン不動産 小説

□松
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「この松の樹に神様がいるのね」




―神様っ!?







‡‡‡ 松 ‡‡‡
〜古くからの言い伝え〜




「いるいるっ!そういうお客さんっ!!」

「マジで!?」


営業を終え、会社に戻って早々に先輩であるハボックを体当たりで捕まえ報告をした。

「そういうお客さんは細かいぜ。いっそのこと、樹が一本もないところに連れて行った方が決まるぞ」

「そんな物件ないじゃんか」

膨れ面になるオレの後ろで無言の圧力をかける、男がいた。


「…エドワード先に私へ報告ではないのかね」

「ごめんごめん。買わないって」

「こらっ」

簡潔過ぎるオレの報告にマスタング店長が怒った。

カルシウム足りねぇじゃねぇの?


「えーと。要は、住宅の裏に松があるからダメだって」

「切ればいいのか?」

「神様だから切れないって」

「…隣町のAも案内したのだろう?」

「藤棚が縁起悪いって」

ハァ〜
とマスタング店長が呆れたように溜め息を吐いた。


だって仕方ないじゃんょ。お客さんが嫌だっていうんだからさ。


「あらエドワード君。帰って来たのね」

「ホークアイ部長、お疲れ様です」

礼儀正しくお辞儀をするオレに優しく「お疲れ様」と返してくれた。

「…君は何故、部長には礼儀正しいのだ?」

「部長だから」

答えになっていなくても、ここにいるみんななら分かってくれる。


店長より部長にお世話になってるからだ。


「コンビニ行ってたんですか?」

「そう。アイス買ってきたの」

「はい」と渡されたのが雪見大福v

ホークアイ部長は、よくみんなに差し入れをしてくれる。

みんなに配っているのを見てお茶の準備をした。
甘ったるい物には、苦めのアイスコーヒーがいい。

自然と店長デスクの隣にある応接セットにみんなが集まる。

みんなの分のアイスコーヒーを持って行くと、フュリー先輩が手伝ってくれた。

「エド。さっきの話で、なんで藤とか松がダメか聞いたか?」

ハボック先輩がアイスを頬張りながら聞いて来た。

「いいや。神様とかしか聞いてない」







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